前回は「抽象度を上げる方法⑥身体を観察する」でした。

シリーズ化となって続けている「抽象度を上げる方法」ですが、そろそろまとめに入ろうかと思います。

抽象度を上げる方法⑦抽象度を上げて具体的に観る

抽象度とは抽象的な見方の度合いであり、より抽象的な見方が出来ることを抽象度が高いと言っています。抽象的の反対は具体的であり、具体的なことやものをより抽象的に視ていく視点が抽象度を上げるということです。

 

抽象度ではよく上げられる例として、犬で具体的から抽象的に視点を変えていくと

●五右衛門(犬の名前)→チワワ(犬の種類)→犬→哺乳類→動物

となり、五右衛門は具体的であり情報量も多いが、動物となると抽象的であり視野は広いが具体的な情報はほとんどなくなります。五右衛門であれば飼い主が好きな食べ物や性格や好きな雌犬のタイプまで把握できますが、山でたまたま見かけた熊については一般的な情報量で判断するしかなく「この熊どんな食べ物が好きなんだろう?ひょっとして、わたしのことかな?」と考えながらも、覚悟を決めた人はファイティングポーズを取って威嚇したり武器になりそうなモノを探したりします。人によっては何も考えずに一目散に逃げるだろうし、世界平和を目指す人であればそこで友好関係を築こうとうするかもしれません。

 

てきとうなこと書いてると話がずれてきてしまうので戻しましょう。

 

犬だと具体例としてはわかりやすいが、だから何なの?と思われる人もいると思います。なので別な例として利益(幸せ)で抽象度を視てみましょう。

●自分の利益→家族の利益→会社の利益→日本国民の利益→世界中の人の利益

 

・「自分さえ快適に過ごせればそれでいい」というのが、自分の利益のみの生き方

・「家族の幸せは俺が守る!!」というのが、家族の利益まで考えられる抽象度

・「社員みんなの幸せのために会社の売り上げを伸ばしてやるぜ!!」というのが、会社という組織の利益まで考えられる抽象度

・「日本国民が楽しく豊に生きられる国にするぞ!!」というのが、日本国民の利益まで考えられる抽象度

・「世界から戦争と飢餓をなくして皆が平和に生きれる社会をつくるぞ!!」というのが、世界中の人の利益まで考えられる抽象度

 

抽象度が上がることで視野が広がり利益(幸せ)を与える人が増えてきます。普通に考えれば自分の利益のみを追求している人よりも世界平和を目指している人の方が立派に見えます。

 

しかし、抽象度が上がるごとに具体的にどうするかということが見えにくくなり、実際に行動して結果に結びつけることが難しくなります。ただし、もし上の階層の抽象度で問題を解決できれば、その下の階層の問題は簡単に解決することが出来ます。というより上位概念は下位概念を含んでいるので自然に解決されています。また抽象度の上の階層で解決方法を考えることで、今直面している問題解決の方法が具体的に見えてくるのです。

 

以前も書きましたが、ノーベル賞を受賞した有名な物理学者であるアルベート・アインシュタインの言葉に『我々の直面する重要な問題は、その問題を作ったときと同じ考えのレベルで解決することはできない』があります。これは問題を解決するには自分の考えのレベルを上げる必要があるということを言っています。

考えのレベルを上げるということは、それはすなわち抽象度の階層を上げて見るということです。そして、その問題よりも上の抽象度で考えることにより、下位概念にある問題の解決方法が自然に見えてくるのです。

 

ただしそこには具体的な考えなり行動は必要となります。抽象的と具体的は両方必要となるのです。

 

例えば、毎日世界平和のことを思っていても(思うことはとても立派で良いことですが)具体的にどうするのかという考えがないことには、解決方法も見つからずほとんど何の意味もないことになります。何の思考もせずに、ただただ世界平和を唱えても家族の利益どころか自分の幸せさえも見えてきません。(僕も世界平和を希望します)

 

抽象度を上げるということは、ただ抽象的なことを唱えるのではなく、抽象的なことに臨場感を持たせることが必要になります。臨場感を持つという事は具体性が必要なのです。

 

何の具体性もない人が、たまたまドラゴンボールを7つ集めて「世界の争いごとをすべて消してください」と神龍に頼んだとします。

無邪気なお願いです。

その結果どうなるか?想像してみてください。

その結果、世界中の生物が全部いっせいに消し飛んで、地球上には何もなくなります。

人間も動物も植物も微生物も細胞も一切が無となります。月や金星のように何もなくなるか、無機物だけの廃墟となるでしょう。そして、もちろん争いごともすべてすべて消えてなくなります。願いは叶ったのです。神龍は言われたことはそのとおりにやっただけです。(人間、動植物、微生物、細胞の争いなしに出来る別な方法があるかどうか考えてみましょう)

 

しかし、「世界の争いごとをすべて消してください」と願った人はそんな世界を望んでいたのでしょうか?

それはもちろん望んでいません。ただ、具体的にどうやって争いをなくすかという方法も考えずに、自分の未来を無邪気に神頼みしただけなのです。

 

抽象度を上げることで、自分の成長や実生活に役立たせたいと思うのであれば、抽象的な考えを具体的に思考する必要があります。どんなことでも唱えるだけなら小さな子供でもできるのです。

 

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

おすすめの記事