現状の外にゴールを設定するとは

 

前回の記事は貴様の王の在り方を~在り方を決めるのは自分自身でした。

今回も小説『Fate/Zero』からの引用でスタートです。アーチャー(英雄王ギルガメッシュ)に挑んでいるライダー(征服王イスカンダル)の心象風景になります。

『彼方にこそ栄え在り』——届かぬからこそ挑むのだ(Fate/Zero)

彼は戦略家であった。勝負の帰趨がとうに決していることも充分に承知していた。だが〝それ”と〝これ”とは話が別なのだ。征服王イスカンダルは、もはやあの黄金の英霊に向かって突進していくより他の処方など、何ひとつ思い当たらなかった。

諦観もない。絶望もない。あるのは張り裂けんばかりの興奮ばかり。

強い。ヤツはあまりにも強い。世界そのものすら切り裂くあの英雄は、まさしく天上天下に最強の敵に違いない。

ならばこそ、あの男こそが最後の敵だ。

アレこそはヒンドゥクシュウの峰より高く、マクランの熱砂よりなお熱い、この世の最後の難関だ。なればこそ、なぜ征服王が挑まずにおれようか。あれを乗り越えたその先こそが世界の果てだ。いつか見た遠い夢が、いま眼前で成就を待っている。

『彼方にこそ栄え在り』——届かぬからこそ挑むのだ。覇道を謳い、覇道を示す。この背中を見守る家臣のために。

虚淵玄『Fate/Zero 6 煉獄の炎』

 

このライダーのマインドは頭で理解するのではなく、あなたの中にも存在しているはずのこの体感を思い出してもらいたいところです。

 

成功するか失敗するか、出来るか出来ないか、儲かるか損するかなんて関係なく、自分がやりたいことが目の前にあるのなら、なりふり構わず挑んでゆく。出来ないことだらけの子供時代には、そんなことはあなたも当然のようにやっていたはずです。

 

征服王イスカンダルは、もはやあの黄金の英霊に向かって突進していくより他の処方など、何ひとつ思い当たらなかった。

 

子供は出来ないことでもなりふり構わず挑んでゆき、そのうちにいくつかの目の前にあった壁をあさりと越えていきます。わからないことに挑戦し続けるからこそ子供は成長が速いとも言えます。

 

大人になると小利口になり、成功しそうなこと、出来そうなこと、儲かりそうなことはしますが、越えられない壁に挑むような挑戦はしなくなります。なぜなら、これまでの経験から自分の能力や出来ることの範囲を自分で決めつけてしまい、出来そうもないことは最初からあきらめてしまうからです。

 

そういう自分の能力を限定したマインドで生活していては成長するのは難しくなります。自分を成長させたい、自分の可能性を信じたいと思っているのであれば、自分が好きなこと、気に入ったこと、興奮することに対して、それが出来る出来ないに関係なく進んで行くことです。

 

諦観もない。絶望もない。あるのは張り裂けんばかりの興奮ばかり。

 

例えば、赤ちゃんは自力で立ち上がれるようになるまで、何度も立ち上がることに挑戦しては失敗します。しかし、失敗したことに対して大人のように絶望したりあきらめたりということはしません。そんなことは考えずに、失敗したら体勢を立て直してもう一度立ち上がろうとします。もし考えていることがあるとすれば、次はどうやったら立ち上がれるのだろうかということだけです。そしてただひたすらに、自分の立ちたいという欲求どおりに繰り返し挑戦します。

そこにあるのは、立ちたいというゴールに対しての興奮や渇望感だけです。そしてその行動に対して成長がついてきます。そしてその壁を乗り越えられた時は見える風景(抽象度)も変わってきます。

 

成長したいと思ったらやることはシンプルです。今の自分では越えられない壁を見つけてそれを乗り越えることです。そして、越えられない壁に挑むのであれば、それが自分が本当にやりたいことであることが望ましいです。自分が興奮や渇望感を抱くような本当に心から欲してやまないゴールです。

 

強い。ヤツはあまりにも強い。世界そのものすら切り裂くあの英雄は、まさしく天上天下に最強の敵に違いない。

ならばこそ、あの男こそが最後の敵だ。

 

越えられない壁だからこそ挑むのです。自分が成長したい強くありたいと思うのなら、自分が最強だと思った敵にあえて挑戦するのです。

 

あれを乗り越えたその先こそが世界の果てだ。いつか見た遠い夢が、いま眼前で成就を待っている。

 

壁の向こうに自分が待ち望んだ夢があるのなら、それが挑まずにいられようか、それが興奮せずにいられようかということです。本気の夢がそこにあるなら、その壁に挑むこと自体が喜びであり快感なのです。

 

『彼方にこそ栄え在り』——届かぬからこそ挑むのだ。

 

逆説的ですが、自分が本気でやりたいことが、今の自分では手が届かないとこにあるのが、人生を充実させ、また自分自身が成長していくカギになります。簡単に手に入りにくい届かぬものに挑んでいくからこそ、人生も栄えていくのです。

 

コーチングで「ゴールは本当にやりたいことを現状の外側に設定する」といわれているのはこういうことです。自分がやりたいことだからこそ越えられそうもない壁に挑むことが出来、その壁を越えた先(超えるまでの過程にも)には確かな成長と新しい景色(抽象度)が待っているのです。

 

届かぬからこそ挑むことを自分の中に意識するようにすれば、目の前に壁があることに気づいたとき、だんだんとそれが喜びとなってきます。

 

なぜなら、あなたは『彼方にこそ栄え在り』だということを知っていて、そこに自分の成長の可能性があることがわかっているからです。

参考記事:彼方にこそ栄えあり(Fate/Zero)(2019/1/26)

 

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今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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