前回の記事は屈辱的なまでの弱気に憑かれた自分~自分に自信をつける方法でした。

今回も小説『Fate/Zero』からの引用でスタートです。今回は言峰綺礼とアーチャー(英雄王・ギルガメッシュの登場シーンです。

このワインが、こんなにも味わい深いとは気付かなかった(Fate/Zero )

ギルガメッシュの問いにどう答えたものか判じかねながら、綺礼はあらためて口に含んだワインの芳香を吟味する。そう、驚きといえば、むしろこの酒だ。

「……何故だろうな。前にも飲んだことがあるというのに。……このワインが、こんなにも味わい深いとは気付かなかった」

真顔で酒杯を見つめる綺礼に、英雄王は微笑んだ。

「酒の味というやつは、肴によって思いのほか化けるものだ。綺礼よ、どうやら見識を広めることの意味を理解しはじめたようだな」

「……」

(略)

だが司祭室を出る前に、もう一度、空のグラスを一瞥した綺礼は、そこでようやく、飲み終えた酒を名残惜しいと感じている自分に気がついた。

切に思った。——これほど美味と感じる酒ならば、ぜひまた飲んでみたいと。

虚淵玄『Fate/Zero 5 闇の胎動』

 

気功でもコーチングでもフィードバックはとても大事です。それは何かの技術を行ったり試してみた後に、やる前とやった後ではどのような変化があったのかを確認することです。成果があったのかなかったのか。わずかばかりでも変化が見られたのか。改善する必要があるのか。別な方法を試した方がいいのか。ただ単にやりっぱなしではなく、それが自分(クライアント)にどう影響したのかを確認します。

 

フィードバックを取ってそのやり方で成果が出そうならその方法を続けていけばいいし、何回か試してみても変化が見られないようであればやり方を変えた方がいいかもしれません。

 

また、成長という物理的に目には見えにくいことでも、フィードバックを取ることによって、自分の中で進んでいるという確信が持てるので、自分を信じて続けていける原動力となります。

 

気功やコーチングでは当たり前のように行っているフィードバックを取るという行為ですが、これは普段の生活の中でも意識して使えば自分を成長させたり生活習慣を改善するのにとても有効な方法となります。

 

普段の生活の中でフィードバックを意識して使うということを簡単にいうと、気づきを意識に上げることです。

 

気づきを意識に上げるというとちょっとハードルが高い難しい感じがするかもしれませので、単にいつもと違うことを感じたらそれを流してしまわずに、なぜそのように感じたかを意識に上げるだけでも構いません。

 

「今朝は目覚めがいい」「今日は頭がさえてる」「今日は肩が軽い」のようなポジティブなことから、「今朝は気持ちが悪い」「食欲がない」「ケアレスミスが続く」のようなネガティブなことまで。まずはこんな簡単なことと思われるような気付きから意識にあげていきます。

 

気付きに上げたら自分なりにその原因を探ります。フィードバックを取ります。

そしてもしポジティブな状態になった原因がわかったら、なるべくそれを生活の中に組み込んで習慣化することです。逆にネガティブな状態になった原因がわかったら、なるべくそれを排除していくようにしていくことです。これをコツコツとやっているだけで、あなたの日常はどんどん快適になっていくはずです。

 

また、喜怒哀楽や、気持ちいい、不愉快などの感情についても、気づいたら意識に上げてその原因を見ていきます。出てくる感情の原因を見ていくと、自分の中のパターンが見えてくるようになります。自分が愉しいと思う事、喜びに感じること、気持ち良さを体感することが客観的に見えてきます。逆に自分が嫌がっていることや受け入れられないことなども見えてきます。

 

これもまた、生活の中にポジティブな感情になることを増やし、ネガティブな感情になることを止めるようにすれば、日常生活は快適になります。さらに自分のポジティブな感情になるパターンがわかるので、ゴール設定する時に方向性も決まりやすくなります。

 

「……何故だろうな。前にも飲んだことがあるというのに。……このワインが、こんなにも味わい深いとは気付かなかった」

言峰綺礼は、とある策略が成功して興奮気味な時にワインを飲んだら、今まで飲んでいた時には感じられなかった味わい深さを感じて驚きます。いつもとは違うワインの味覚に気づき意識に上がったということです。

 

「酒の味というやつは、肴によって思いのほか化けるものだ。綺礼よ、どうやら見識を広めることの意味を理解しはじめたようだな」

 

その綺礼に対し英雄王・ギルガメッシュはまるでコーチングをしているかのような視点で綺礼の成長を感じています。新たな体験によりいろいろなスコトーマ(心理的盲点)が外れたことをほのめかし、さらに愉悦体験を酒の肴にたとえ、愉しんで生きること=(イコール)モノの見方を変えることで同じものでも感じ方が変わるものだということを話します。

 

だが司祭室を出る前に、もう一度、空のグラスを一瞥した綺礼は、そこでようやく、飲み終えた酒を名残惜しいと感じている自分に気がついた。

切に思った。——これほど美味と感じる酒ならば、ぜひまた飲んでみたいと。

 

今回の言峰綺礼を日常生活の中での気づきに当てはめて見れば、飲んだワインを味わい深く感じまた飲み終えたワインを名残惜しいとさえ感じている自分に気がつき、もう一度この感覚を感じてみたいと思った。であれば、その原因となった体験をまたやってみればいい、ということです。そして、それがまた同じように美味と感じられるなら、その原因となった自分が興奮するような体験や似たような体験を生活の中に組み込んで習慣化したらいいのです。(今回の場合、ワインを飲むことを習慣化するのではなく、ワインを美味だと感じるに至った、その前の体験を習慣化する方にフォーカスします)

 

日常生活のちょっとしたことの中から良い習慣に気づき、それを定着させていくパターンは基本的にこれと同じパターンです。自分に良い影響を与えたことに気づき、その原因を探りそれを意識的に生活の中に組み込んで習慣化していくのです。

 

少し視点を変えて見る。少し意識を変えて見る。それによって普段の生活の中にも成長や愉しく生きる材料はたくさん転がっているのです。

 

※今回の引用は本当はこんなほのぼのした話をするような物語の展開ではなく、引用文の前に鬼畜なことが行われていたのですが、まぁそれでも視点を変えれば学びになるということでご了承ください。

 

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

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