ネガティブラポールは捨ててしまおう

 

前回の記事はなんでそう自分の世界を狭めるのかー余計なことに興味を割くぐらいならでした。

今回も小説『Fate/Zero』からの引用です。間桐雁夜と遠坂時臣がマスター同士で直接対決する場面であり、時臣を目の敵にしている雁夜の心象風景となります。(引用文中の葵は時臣の奥さんであり雁夜の幼なじみ)

ひたすらに呪わしい~ラポールとネガティブラポール(Fate/Zero)

畏敬は憎悪に。羨望は怒りに。今や姿かたちまで醜く歪められた雁夜にとっては、相も変らぬ時臣の優美さ華麗さが、ひたすらに呪わしい。

‟貴様は——いつだって、そうだった”

その言動。その物腰。一分の隙もない無謬の気品。かつて葵と雁夜の目の前に現れた最初の日から、この男は『完璧』であった。常に持ち前の優雅な余裕で、雁夜に対し『格』の違いを意識させ続けてきた。

虚淵玄『Fate/Zero 4 散りゆく者たち』

 

ラポールという言葉があります。最近は一般的になりつつある言葉ですが、もともと心理学や催眠で使われている用語です。営業の研修などでも普通に使われている言葉なので知っている人は多いと思います。

 

ラポールの意味をひとことで簡単にいえば「信頼関係」です。信頼や好感といった感情がある関係です。ですのでラポールを築くということは信頼関係を築くことであり、ラポールが出来ているといえば信頼関係が出来ているということになります。

 

ラポール(信頼関係)を築くことはビジネスにおいても恋愛関係においてもとても大切です。ラポールが出来ていないのに契約しましょうとか、お付き合いしましょうとか言ってもそれはなかなか難しいことです。

 

ラポールはコミュニケーションを取っていく中で自然に出来上がってくるものです。しかし心理学等の研究によりラポールを築きやすくするためのコミュニケーションの技術があることもわかっています。営業の世界ではその技術を教えていることが多いので(たいていは表面上の技術だけですが)、接客中に相手が僕に対してその技術を使っていることがたまにあって「あ~、やってるなぁ」と思うこともよくありました。まぁそのうちにラポールを作るための技術を紹介する記事についても書いていこうかなと思っています。

 

で、続いてネガティブラポールの話しです。

引用文の中で間桐雁夜が遠坂時臣に抱いている想いはネガティブラポールと呼ばれるものです。ネガティブラポールはラポールの反対だと思ってもらえればいいです、ラポールが信頼や好感を抱いている感情であるのに対し、ネガティブラポールはある人に対する嫉妬や憎悪などのネガティブな感情を抱いていることです。

 

相も変らぬ時臣の優美さ華麗さが、ひたすらに呪わしい

 

人は全く興味のないことにはあまり反応しません。逆に反応しやすいのは好きと嫌いです。反応するということは気になるということです。気になることだから、まれにある瞬間、好きが嫌いになったり、嫌いが好きになったりということも起こります。

人間関係においては、好きであれ嫌いであれその人のことが気になって気になって仕方がないということがよくあります。それが好きな人のことであればまだましですが、嫌いな人のことを思い続けるというのは精神衛生上あまりいいことではありません。

 

まぁ好き嫌いのどちらにしても、気になって常に意識に上がるようなレベルになると、ある意味では感情がその人に支配されているということになります。気にしているその人の情報が心身に大きな影響を与えているということです。

 

常に持ち前の優雅な余裕で、雁夜に対し『格』の違いを意識させ続けてきた

 

意識される相手の情報が、あなた自身を成長させる方向に向かわせることであったり、自分に足りなかった部分や必要なことを気づかせてくれるといったポジティブな情報に変わるのであれば、それはあなたにとってとても良いことです。常に意識に上がっているので自分を理想とする方向に書き換える良い機会となるでしょう。尊敬できる師であったり競い合えるライバルなどがそのような存在と言えます。

 

反対に、相手に対して憎悪や怒り、嫉妬や反発などネガティブな感情を持ってしまう人がいて、その人のことが気になって仕方がないという状態であるとすれば、それはやっかいな問題です。ネガティブな感情はさらにネガティブな感情を呼ぶので、常にあなたの心はネガティブな感情に支配されることになるからです。平たく言えば悩んでいる状態が続くということです。

 

何度か書いていることですが、私たちは自分の無意識から出てくる感情は止められません。だから嫌いという感情が出てくるのはそれはそれで受け入れるしかありません。でも無意識から出た感情の持続時間は5秒前後しかもちません。それ以上その感情が続くようなら、それは自分自身が意識してその感情を選択しているということになります。嫌いな人のことが気になって気になって仕方がないということも、自分自身で意識してそれを選択して気にしているのです。

 

ネガティブな意識状態を続けるということは、ストレスや心身に対する悪い影響を及ぼすことにつながります。そんなことを思い続けていても百害あって一利なしであり、いいことは何もありません。

 

だから、自分が誰かに対し常に気になって仕方がないくらいの強いネガティブラポールを状態にあることに気がついたら、それを消してしまうように自分自身に働きかけることが賢い選択です。嫌いな人のことを考えて、自分自身が病んでしまうなんて、こんな割に合わないことはありません。

 

ネガティブラポールを消すために有効な方法は感情のコントロールであり、感情のコントロールに有効な手段は、深呼吸とリラックスで心身をニュートラルな状態にすることです。まずは落ち着いて冷静に思考できる賢い自分に戻ることです。

 

深呼吸とリラックスについて詳しくは以下の記事をご覧ください。

『リラックスする方法①深呼吸』(2018/6/5)

『心がリラックスする方法』(2018/7/10)

 

他人にネガティブな感情を持って生きることに何の利点もありません。嫌な人がいることはそれはでそれは全然かまいませんが、そのことに必要以上に意識や感情を奪われないようにする必要があります。無駄だと思うネガティブな感情はさっさと捨ててしまいましょう。ネガティブラポールは必要ないのです。

 

では逆に、他人からネガティブラポールを向けられていたらどうしたらいいでしょうか?

次回の記事では、この件について書いていこうと思います。

 

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今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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