世界を広げて見渡すか、世界を狭めて深堀りするか

 

前回の記事はそのギラギラ光る丸い目は既にもう~本当のWANT TOの渇望感でした。

今回も小説『Fate/Zero』からの引用でスタートです。今回は7人のマスターの1人であるウェイバー・ベルベット(19才の青年)と、そのサーヴァントのライダー(征服王イスカンダル)との会話になります。

なんでそう自分の世界を狭めるのかー余計なことに興味を割くぐらいなら(Fate/Zero )

「さあ坊主、帰ったらさっそく対戦プレイだ!パッドも二つ買ってきたからな!」

「ぼくはな、そういう下賤で低俗な遊戯には興味ないんだよ」

そうウェイバーが鼻を鳴らして言い捨てると、ライダーは何が哀しいのやら沈鬱に眉根を寄せて、深々と嘆息した。

「あ~もう、なんでそうやって貴様は好き好んで自分の世界を狭めるかなぁ……ちったぁ楽しいことを探そうとは思わんのか?」

「うるさいな!余計なことに興味を割くぐらいなら、真理の探究に専念するのが魔術師ってもんだ! ボクにはな、テレビゲームなんぞに消費していい脳細胞なんてこれっぽっちもないんだよ!」

「——んで、そういう貴様が興味を持ってたのはこの本か?」

虚淵玄『Fate/Zero 4 散りゆく者たち』

 

ライダーとウェイバーの主張は真っ向から対立しています。

 

ライダーは自分の世界を広げて楽しいことを探していきたいという考え方を持っており

あ~もう、なんでそうやって貴様は好き好んで自分の世界を狭めるかなぁ……ちったぁ楽しいことを探そうとは思わんのか?

 

ウェイバーの方は自分が興味のある世界について、さらに深く学んでいきたいという考え方を持っています。

余計なことに興味を割くぐらいなら、真理の探究に専念するのが魔術師ってもんだ!

簡単に言えば、広く浅くか狭く深くかということになります。

これについては、どっちが良くてどっちが悪いということはありあせん。というか、この二つの考え方は共に良い考え方であり、取り入れてほしい考え方です。

 

まぁどちらか片方だけの考え方で突き進んで行っても良いとは思いますが、自分とは違う別の良い方法もあるということは認識しておいてほしいところです。

 

「広く浅い世界」と「狭く深い世界」のどちらの考え方で行動してもいいですが、この二つの考え方にはそれぞれぼんやりとですが違った役割があります。

まず「広く浅い世界」から見ていくと、この表現には広く見渡すというイメージがあり『何かを見つける』といった役割で捉えることができます。

次に「狭く深い世界」を見ていくと、この表現にはひとつのことに没頭するというイメージがあり『何かを探求する』といった役割で捉えることができるでしょう。

 

それぞれの役割を見てみると、「広く浅い世界」を追い求めている時は漠然とした興味はあるもののターゲットや目的が明確に定まっていない状態であり、逆に「狭く深い世界」を追い求めている時は自分の取り組むべきターゲットや目的が明確に定まっている状態であると言えます。

 

これをコーチングにあてはめて考えてみましょう。

ゴール設定が明確でなかったり自分の興味のあることがわからない場合であれば「広く浅い世界」=『何かを見つける』という意識で行動することが有効です。引用文のライダーのように楽しいことを探すことを優先して行動することにより、自分の視野が広がりまた興味のあることを見つけることができるからです。

 

逆に、ゴール設定が明確に決まっており、やるべきことが定まっているのであれば、「狭く深い世界」=『何かを探求する』状態に入って行動することが有効になります。ひとつのことに集中して没入することが出来るかどうかがその世界で大きく成長していけるかどうかの鍵ともなります。

 

コーチングでは基本的にゴール設定は何個でもしたほうがいいので、そうなるとそれぞれのゴールの世界観で「広く浅い世界」と「狭く深い世界」の両方を持っていることが理想とも言えます。

 

まぁ、やりたいことを探すのかやるのかのどちらにしても、フォーカスしてほしいとこは、それが自分が好きなことや興味を持ったことに対しての行動であってほしいということです。

 

ボクにはな、テレビゲームなんぞに消費していい脳細胞なんてこれっぽっちもないんだよ!

 

自分のやりたくもないことに、だらだらと無駄な時間とエネルギーを使う事ほどもったいないことはありません。

世界を広げるにしても、何かに没頭するにしても、その方向があなたのやりたいことに向かっているのことが大事になります。そして、その方向性さえ正しければ「広く浅い世界」と「狭く深い世界」を自由自在に駆け巡ることで、あなたの成功や成長の可能性は大きく広がってくるのです。

 

Fate/Zero(4)散りゆく者たち (星海社文庫)

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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