前回の記事は抽象度を上げる方法④得意なことで蟻の一穴を開くでした。

今回も引き続き、抽象度を上げる方法について書いていきます。

抽象度を上げる方法⑤視点を移動させて視野を広げる

抽象度を上げるということは、視点を移動させるということです。

抽象度は上げっぱなしでも下げっぱなしでも、あまり良くありません。抽象度を下げるということは具体的に視るということであり、具体的な視点と抽象的な視点とを行ったり来たり移動しながらバランスよく考えることが、賢い思考能力だと言えます。

 

抽象度は上げることも大切ですが、どちらかと言えば抽象度を移動させる能力の方がもっと大切です。抽象度が高かろうが低かろうが同じ視点からしか物事を考えられない人は、会社組織でいうところの自分の立場からしか物事を判断出来ない人になります。

 

例えば、会社の役職・立場を抽象度に置き換えて視て見ましょう。社長が抽象度が高い視点で平社員が低い視点だと仮定します(あくまでも仮定です)。社長が抽象度の高い視点で会社全体を視て、自分の理想や会社の利益を考えながらも管理職や平社員たち、または職場環境のことなども視野に入れて考えることが出来る社長は抽象度の視点を移動させることが出来ている人ということになります。逆に自分の利益や会社を大きくすることだけを考えて社員の働く環境や気持ちのことなど見向きもしない人は、自分の視点でしか物事を視ることができない、イコール抽象度の移動が出来ていない人ということになります。

 

これが社長でなくて課長だったとしても、会社全体を視て社長や会社経営のことから自分のやるべきこと、社員の教育のことまでを広い視野で視る視点がある人は抽象度の移動が出来る人です。逆に自分の利益を守ることだけを考えて、社長や部長のご機嫌を取ることに一生懸命で、部下には権力を使って駒のように扱うような人は抽象度の移動が出来ない人です。

 

当然ながら自分の立場や利益でしか物事を視れない人よりも、いろいろな人の立場に視点を移動させて視ることが出来る人の方が会社にとっても周りの人にとっても必要とされる優秀な人材です。平社員でさえ経営者のレベルで物事を視れる人はとても優秀であり、まともな会社であればそういう人材が役職をどんどん上げていくのです。

抽象度の移動が出来るという事は視野が広いということにもなります。抽象度が高いだけでも視野は広いことは確かですが、その高い位置からしか物事を視ていないと景色がほぼ固定されてしまいまい、頭がいいのにもかかわらず残念な人ということになってしまいます。だから抽象度の高い世界も低い世界も自由自在に視点を移動させて視ることが出来る人が、本当の視野が広い人なのです。

視野が広い者はますます視野が広くなり

富める者はますます富み、貧しき者は持っている物でさえ取り去られるのである

新約聖書マタイ伝13章12節

上記の新約聖書の引用は「マタイ効果」と呼ばれているものであり、平たく言えば金持ちはどんどん金持ちになり、貧乏人はどんどん貧乏になるという、世の中の法則でもあります。

 

この「マタイ効果」はお金以外のことにも、いろいろなことで働いています。

 

例えば視野の広さです。視野の広い人はその視野の広さゆえにさらに視野が広がっていきます。視野の狭い人はその視野の狭さゆえにどんどん自分の考えに固執していきます。

 

視野を広くすれば「マタイ効果」で、さらに視野が広がっていく。そして当然のことながら視野が広がっていけば抽象度の高さも自然と上がっていくのです。なぜなら視野が広がればさらに視野が広がり、物の見方でさえ広がっていくからです。

 

高い抽象度を目指し学びを深めていくことはもちろんいいことですが、高いところばかり視ているよりも、高いところも低いところも自由自在に動ける方が結果的に抽象度を上げやすくなるのです。

 

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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