馬鹿になって行動するか、腰抜けとなるのか

 

前回の記事は何の気なしに自販機で買ってしまった~場所は習慣のトリガーになるでした。

 

今回も前回に引き続き、小説『Fate/Zero』からの引用でスタートです。

あんな馬鹿に、世界はいちど征服されかかったのか?(Fate/Zero)

「情けない、情けないのぅ!冬木に集った英雄豪傑どもよ。このセイバーとランサーが見せつけた気概に、何も感じるところがないと抜かすか?誇るべき真名を持ち合わせておきながら、コソコソと覗き見に徹するというのなら、腰抜けだわな。英霊が聞いて呆れるわなぁ。んん!?」

そうしてひとくさり豪笑を放った後、ライダーは、軽く小首を傾げて不敵に口元を歪めると、とことん挑発的な眼差しで周囲の闇を見渡した。

「聖杯に招かれし英霊は、今! ここに集うがいい。なおも顔見せを怖じるような臆病者は、征服王イスカンダルの侮辱を免れぬものと知れ!」

ライダーの大熱弁は、遠く離れたコンテナ集配場で暗視スコープ越しに顛末を見守っていた衛宮切嗣の許にまで届いていた。同じく反対側から監視している舞弥の耳にも聞こえていた。

太古の英雄の思考回路は、切嗣の理解を遠く絶して、もはや嘆息しか出てこない。

「……あんな馬鹿に、世界はいちど征服されかかったのか?」

『……』

インカムの向こう側の舞弥もまた、語る言葉を持たない様子だった。

虚淵玄『Fate/Zero 2 英霊参集』

※ライダー=征服王イスカンダル

 

真面目に生きている人はもちろんのこと、多くの人は周囲の顔色を伺って行動をします。他人の評価を気にしています。だから、何かとんでもないことをしでかして後ろ指を指されたり、自分の知らないところで陰口をたたかれたりすることはできれば避けたいことです。

 

しかし、周囲の顔色を伺った行動ばかりを繰り返していると、何事も無難にこなすことが優先され、今までしたことのない新しい挑戦をすることが難しくなってきます。

 

なぜなら、新しい挑戦には(短期的に観れば)失敗がつきものであり、実際に失敗したときに自分が気にしている周囲の人からどう思われてしまうかが気になってしまい、それだけのことで新しい挑戦を諦めてしまうことがあるからです。

また、失敗を恐れるあまり絶対に成功すると確信するまで準備に時間をかける人もいます。確かに準備は必要です。徒手空拳で何もわからずに飛び込むことはとても勇ましいですが、失敗のリスクが大きいときは下調べも大切です(逆にリスクがないことであれば、とりあえすやってみた方がいいです)。

 

しかし、どんなに調べても、また調べれば調べるほど不確定要素は出てきます。そして時間が長引けば長引くほど熱い気持ちも醒めてくる傾向があります。そんなことを繰り返していたら何も出来ずに人生は終わってしまいます。私たちの人生は無限ではないのです。

 

情けない、情けないのぅ!冬木に集った英雄豪傑どもよ

 

周りの常識的な目を気にして、失敗を恐れるあまり行動することが出来ない人というのは、逆に見方を変えて行動する少数の人からしてみれば「情けない」という侮辱的なひとことが浴びせられている可能性があります。

 

コソコソと覗き見に徹するというのなら、腰抜けだわな

 

もしくは「腰抜け」だと思われているかもしれません。

 

ここで誤解してほしくないのは、「情けない」とか「腰抜け」だとか思われないように行動しようということを言っているのではありません。フォーカスしたいことは、あなたがどちら側に立っている人間なのかということです。どちら側かというのは、周囲の目を気にして行動に慎重になる側か、失敗を恐れずに行動する方を選ぶ側かです。どちらでも好きな方を選んだらいいのです。

 

……あんな馬鹿に、世界はいちど征服されかかったのか?

 

失敗を恐れずに行動する人のことを、失敗を恐れて行動できない人は敬意をこめて?「馬鹿」と呼びます。

 

要は、自分をもっと成長させたいとか、新しいことに挑戦したいという人であれば、失敗を恐れて行動しない周囲の人からしてみれば、口に出して言うか言わないかは別にして「馬鹿」だと思われているということです。

 

「馬鹿」と呼ばれるのはあまりいい気がしないかもしれませんが、その言葉に込められている定義を自分なりに解釈すれば、それはあなたにとって最高の誉め言葉かもしれません。

 

失敗を恐れて行動しない人に「馬鹿」と思われるか、失敗を恐れずに人生にチャレンジしている人に「情けない」「腰抜け」と思われるか。どちらを選ぶかはあなた次第です。

 

※本当のところは、あなたのことを「馬鹿」とも「情けない」とも「腰抜け」とも思っていない無関心な人がほとんどです。他人の評価を一番気にしているのはあなた自身です。

Fate/Zero(2) 英霊参集 (星海社文庫)

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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