ゴールが先で方法は後から

 

前回の記事は覚悟などするまでもない!~やりたいことをやるというマインドセットでした。

 

前回の記事は『阿・吽(あうん)』(おかざき真里著)より空海の覚悟についての内容でした。今回は前回同様に『阿・吽』より最澄の会話を引用します。

私の仕事は皆を等しく救うことです(阿・吽)

「私の生きる希望は、最澄様に会うことです♪」

最澄「私の仕事は皆を等しく救うことです。」

「人を導くには自分がまず 仏と同じ境地に達しなくてはなりません。」

(ホトケ?)

「修業とは まず感覚……形を見る、音を聞く、匂いを嗅ぐ、舌で味わう、身体で触れる、善悪を判断する、これらを仏と同じ域にするためにするのです。」

「つまり 目・耳・鼻・舌・身・意を、執着するものや欲望のままに使ってはいけないのです。」

「ちなみに目・耳・鼻・舌・身・意を『六根』といい、色・声・香・味・触・法が『六境』です。」

「境い目… これを正しく感じ取れるようにならねばいけません。それが『六根相似位』です!」

「よくわかんない。ね———」

おまざき真里『阿・吽』第2巻

 

私の仕事は皆を等しく救うことです。

 

最澄は仕事と言っていますが、ここでの仕事はゴールと言い換えてもいいかと思います。最澄のゴールは「皆を等しく救うこと」であり、それは「全世界を救うこと」でもあります。

 

人を導くには自分がまず 仏と同じ境地に達しなくてはなりません

 

ここで最澄の言う仏とは、もちろん死者のことではありません。仏とは仏陀のことであり、仏陀とは修行を積み正しい悟りを得た人のことです。そして、最澄は人を導くためには、まず自分が真理を悟る必要があると考えます。

 

修業とは まず感覚……形を見る、音を聞く、匂いを嗅ぐ、舌で味わう、身体で触れる、善悪を判断する、これらを仏と同じ域にするためにするのです。

 

自分が真理に到達し悟りに到達するためには修行が必要である。その修行の目的は、「まずは感覚……形を見る、音を聞く、匂いを嗅ぐ、舌で味わう、身体で触れる、善悪を判断する、これらを仏と同じ域にするためにする」と言います。ここで言う感覚は五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)と意識のことです。

ようは、修行とは通常は無意識で働いているこれらの感覚を意識に上げて、仏と同じレベルで活用するためにするということです。

 

つまり 目・耳・鼻・舌・身・意を、執着するものや欲望のままに使ってはいけないのです

 

仏と同じように感覚を使うのであれば、自分の感覚を無意識や執着や欲望のままに使わないことです。それには自分の感覚を意識に上げて観察する必要があります。仏教用語でいうと止観です。止めて観るです。意識に上げて観察して、今の自分の感覚が自分の理想とする仏の感覚に沿っているのかを確認するのです。

 

ちなみに目・耳・鼻・舌・身・意を『六根』といい、色・声・香・味・触・法が『六境』です。

境い目… これを正しく感じ取れるようにならねばいけません。それが『六根相似位』です!

 

今の自分の感覚が、自分の理想とする仏の感覚に沿っているのかを確認するために、最澄が意識していたのは『六根相似位』です。六根相似位は六根清浄や六根浄とも呼ばれるもので、意味は修行などの功徳を積み、六根から生じる迷いを断って清らかな身になることです。

 

ちなみに、六根とは目・耳・鼻・舌・身・意といったように感覚器官そのもののことで、六境とは六根が知覚する対象のことで姿(色)・音(声)・匂い(香り)・味わい(味)・感触(触)・考える対象(法)のことです。

 

よくわかんない。ね———

 

仏教用語が飛び交うと、途端に何を言っているのかわからなくなる人もいるかと思いますが、まあ別にここで出た仏教用語やその意味するところを覚える必要はありません。言いたいとこはそこではなく(本当は、そこも理解してはほしいのですが)、この記事でフォーカスしている「のは最澄が自分のゴール達成に向けて行っている思考の方法です。

 

ゴール:皆を等しく救うこと
 ↓
理想像:人を導くには自分がまず 仏と同じ境地に達すること
 ↓
理想への道:感覚を仏と同じ域にするために修行する
 ↓
理想への具体的な方法:感覚を意識に上げて、仏と同じように正しく感じ取れるようにすること

 

ゴール設定から具体的な行動に下ろしています。ゴール設定がされることで、どうなりたいかが見えてくるようになり、どうすればいいのかその方法も見えてくるようになります。

 

これは「皆を等しく救うこと」という抽象度の高い大きなゴールから、ひとつひとつ抽象度を下げて具体的にどうすればいいのかという行動に移すためのプロセスです。そしてそれはセルフコーチングで自分を理想の自分に書き換えるためのプロセスと同じです。

 

このプロセスは大きなことであれ小さなことであれ、ほとんど一緒です。それは何をするにしてもまずは「ゴール設定から始まる」ということです。そしてゴール設定とは、「自分が何をしたいか明確にすること」です。

 

自分が本当にしたいことが明確になれば、どんなに大きなゴールであっても、やり方が見えてくるようになるのです。

阿・吽 (2) (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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