やりたいことを見つけるというゴール設定

 

前回の記事は無意味さの忘却。苦にならぬ徒労~愉悦とは何か?でした。

今回も前回に引き続き、小説『Fate/Zero』からの引用でスタートです。今回も前回同様に言峰綺礼とアーチャー(英雄王・ギルガメッシュ)の会話シーンが続きます。

目的と手段の逆転だ(Fate/Zero)

「それが真に万能の願望機であるならば——聖杯は、お前自身にすら理解の及ばぬ、心の奥底の願望を、そのまま形に与えて示すことだろう」

(略)

「綺礼よ、思索は決してお前に答えをもたらさない。倫理に縛られたその思索こそ、お前という人間を歪めている元凶なのだ。

ならば、聖杯を手にして祈れ。しかる後に、アレのもたらしたものを見届けて、それを自らの幸福の形と知ればよい」

「……」

今日まで、思いも至らなかった発想だった。

いうなればそれは、目的と手段の逆転だ。願望の何たるかを知りえぬが故に、願望機そのものを手段とし、結末を占わせるという逆説。

虚淵玄『Fate/Zero 4 散りゆく者たち』

 

言峰綺礼が悩んでいるのは、自分には理想もなく悲願もなく、いわゆる願望というものが全く思い浮かばない状態だということ。

コーチングでいうとこの、自分が何がやりたいのかわからないからゴール設定が出来ない状態です。

 

ここで逆転の発想の提案があります。

 

自分が何がやりたいのかを知りたいなら、それをそのままゴール設定にしてしまえばいい。

例えばよく物語であるような、自分の人生そのものを「自分が何をしたいのか」「何を理想とするのか」「自分がどうなりたいか」「何が自分の幸せなのか」を知るための旅にしてしまえばいいのである。

童話『青い鳥』のように幸福を探し求めればいいのです。自分探しの旅です。

それが真に万能の願望機であるならば——聖杯は、お前自身にすら理解の及ばぬ、心の奥底の願望を、そのまま形に与えて示すことだろう

 

引用の文脈では、聖杯が願いを叶えてくれる万能の願望機なのだから、あれこれ考えずに聖杯に自分の願望をそのまま具現化してもらえばいいのではないか。そして、その結果出てきたものが自分にとっての幸福であることを知ればよい、ということになります。

 

ただし、万能の願望機である聖杯はそうやすやすと手に入る物ではないので、まずは何とかして聖杯を手にする必要が生じます。童話『青い鳥』で幸せになるために青い鳥を見つける必要があると思ったようにです。

 

ここでフォーカスしたいのは、「聖杯を手に入れる」「青い鳥を見つける」ということもゴールとして機能するということです。

 

「自分が何をしたいのか」「何を理想とするのか」「自分がどうなりたいか」「何が自分の幸せなのか」を見つけることそのものを自分のゴールとして設定した場合、「聖杯を手に入れる」「青い鳥を見つける」のように、そのためにはこうしたらいいのではないかということが見えてきます。

 

そうしたら、余計なことをあれこれ考えず聖杯や青い鳥を取りに行けばいいのです。

もし、自分が何をしたいのかがわからないけど、お金をたくさん持っていることが幸せな人生なのではないかと思ったら、余計なことをあれこれ考えずお金を稼げばいいのです。

 

なんせ、自分がどうなりたいのかがわからないし、やりたいことがないのですから、自分の幸せが見つかりそうなことがあるのであれば、とりあえすそこに向けて全力で行動してみたらいいのです。

 

綺礼よ、思索は決してお前に答えをもたらさない。倫理に縛られたその思索こそ、お前という人間を歪めている元凶なのだ

 

聖杯を取りに行くと決めて戦いに挑む、青い鳥を探すために旅に出る、お金を稼ぐためにがむしゃらに働く、そういった行動を自分の幸せや本当にやりたいことを見つけるためにやっていると、聖杯や青い鳥が見つかる前に、自分の求めていた答えらしきものが見つかりそうになります。自分の探し求めていたのはこういうことだったのか、ということに気づく瞬間が訪れるものです。

 

ゴールを意識して、それを求めて何かしらの行動していれば、その行動から求めていることのヒントが得られるのです。

 

コーチングにおいて、ゴール設定は何個設定しても構いません。というか、一個だけというよりはなるべく多く設定した方がいいのです。それも趣味や他人からくだらないと思われるようなことも含めていろんな分野に設定することです。

 

そして、その中のひとつに「自分の人生の中で本当にやりたいことを見つける」というゴールを設定してもいいのです。本当に何もしたいことがなければ、最初はそれだけでもいいです。そして、その意識を持っていろいろな行動をしていけばいいのです。

 

ゴール設定の逆転の発想として、やりたいことがわからないからゴール設定が出来ないのであれば、やりたいことを見つけることをゴールとしてして設定してみる。そして、あなたが心から本当にやりたいことを見つけたいと思っているのであれば、あなたの意識または無意識がそのゴール達成に向けて猛烈に動き出すはずなのです。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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