前回の記事は抽象度を上げる方法②巨人の肩に乗るでした。

 

抽象度を上げるとは広い視野で物事を見ることです。

広い視野で見るためにはリラックスしていることが大事になります。怒って頭に血を上らせている状態や、焦って冷静さを欠いている状態では、心も身体も緊張状態になり視野が狭くなるからです。

 

また、視野を広げても見えている物が何なのかがわからないとあまり意味がありません。見えている物がわかるためにはIQが必要であり知識や賢さが必要とされるところです。

 

さらに前々回の抽象度を上げる方法ではリラックスして思考したらそれを具体化して行動することをおすすめしました。

そして前回の抽象度を上げる方法②巨人の肩に乗るでは抽象度の高い人とお近づきになることと、抽象度の高い人の書いた本を読むこともおすすめしました。

 

引き続き今回も「抽象度を上げる方法」の話をしていきます。

抽象度を上げる方法③偏見をはずす

今回の抽象度を上げる方法は「偏見をはずす」です。

「偏見は何も産まないだけじゃない。何もかもが視えなくなる。もっとも、この世の中はほぼすべてが偏見によって支えられていますがね。このエル・ドゥロはその偏見を利用し尽くすことで詐欺行為を重ねてきた。あなたもその偏見に捉われている。毛髪の白さは老齢によるものだと信じ込んでいるんだ。ちがいますか?」

船戸与一「蟹喰い猿フーガ」

偏見とは、かたよった見方や考え方のことで、十分な根拠もなくある集団や個人に対して悪く考えることです。

偏見を簡単に言えば思い込みであり、自分の考え方を正しいと思い込んでいることです。自分の意見が正しいと思い込んでいるから、それとは別の意見や考え方に対して悪い感情をいだいてしまうのです。

これまでの抽象度の記事を読んでいる人であればおわかりのように、偏見は抽象度の低い物の見方です。自分の意見、考え方、見方、集団だけが正しいと思うのは視野の狭い考え方です。自分が正義であり自分の想い通りにして自分自身の利益だけを大切だと思うから、他人の考えや気持ちのことなど目に入っていないのです。

 

私たち人類には様々な人種がいて、いろいろな文化があり、また同じ人種で同じ文化に育っても価値観や考え方などは人それぞれ違います。当然です。

 

偏見は、ただの無知であり傲慢です。

 

違う価値観や考え方があるからこそ、それを取り入れて自分の視野を広げていくことも可能であり自分を成長させることにもつながるのです。

 

また偏見は他者に利用されます。

 

私たちの脳は手抜きが得意なので、一度こうだと認識したことについてはゲシュタルトを構築し、そう思い込んでしまうように出来ています。この脳の働きは基本的には脳の負担を減らすためいいことです。しかしその認識がメディアの情報操作だったり、何かのうわべだけの情報を見て他人にそう思い込まされていたりすると知らず知らずのうちに利用されたりだまされたりする可能性もあります。

 

私たちの脳は疲れたくないので自分の仕事を速く終わらせようとします。それは新たな情報に触れた時、それに対して分析したりや本質について考えたりせずに、今までの自分の知識から「こういうことだな」と思い込みでストーリーを作って決めつけをしてしまい、自分の脳を働かせることをストップしてしまうのです。そして先入観やわかったつもりのことを真実だと思い込んでいるのです。

 

でも、これはしょうがないことです、私たちに入ってくる情報は多すぎるのですべてを間違いなく判断するなんて誰にもできません。そりゃ脳も手抜きせざるを得ません。

 

ただし、人間には偏見であり思い込みをしてしまう特性があり、自分もそうなる可能性があることを意識していれば、あなたが他者との意見の相違があった時、大事な決断の時、何かの問題を解決しなければならない時に「自分自身の意見や考え方が偏見や思い込みだったのではないか」と意識に上げることができます。

 

これは自分の考え方、思考、価値観を見つめなおすことになり、自分の思考をバージョンアップするチャンスにもなります。ということはそれはそのまま抽象度を上げることにつながってくるのです。

「このエル・ドゥロはね、世間の偏見のなかを泳ぐことを愉しんできた。それがあるかぎり、世のなかはこんなちゃちな小道具にですらころりと騙される。」

船戸与一「蟹喰い猿フーガ」

自分のかたよった視点(偏見)だけで見ていることに気づき、リラックスして広い視野を持つことで両目を開くことができ、抽象度も上がり自分を成長させていくことが可能となるのです。

 

 

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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