悪い習慣はやめることが出来るのか?

 

前回の記事はこの状況を、あの神父は愉しんでいるのではないか~人生を愉しむでした。

今回も引き続き、小説『Fate/Zero』からの引用でスタートです。今回は間桐雁夜の兄である間桐鶴野(びゃくや)の心象風景になります。

頼れるものはアルコール以外に何があるのか(Fate/Zero)

更けていく夜の闇を可能な限り意識すまいと、今夜も間桐鶴野(びゃくや)はアルコールに耽溺していた。

(略)

連日、この冬木市を脅かしている夜の怪異の実態を、当然ながら鶴野は知っている。彼は由緒正しい間桐家の家督を継いだ嫡男であり、かつて聖杯を求めて久遠の探究に乗り出した偉大なる血脈の末裔である。本来ならこの酸鼻たる戦いに、当事者の一人として参ずるべき立場にいたのが彼だった。

(略)

雁夜が召喚陣より呼び出し、契約した、黒くおぞましい怨霊の姿を思いす。——あの時の恐怖を記憶から遠ざけるためには、ただ重ねて酒瓶を呷るしかない。

あんなモノが他にあと六体、今もこの夜の闇の中で血肉を喰らいあいながら相克していると知っていれば、正気でいられる方がどうかしている。今の冬木市は正真正銘の魔界だ。そんな場所で平静な精神を保っていようと思うなら、頼れるものはアルコール以外に何があるのか。

(略)

ああ、なぜ今夜はこんなにも眠気の訪れが遅いのか。いつものようにさっさと昏睡の中に転がり落ちてしまいたい。酒が足りない。酔いが足りない。屋敷の外の出来事など一刻も早く忘却し、夜明けまでの時間を跳び越えたいというのに——

虚淵玄『Fate/Zero 5 闇の胎動』

 

間桐鶴野はアルコールの力で恐怖の気持ちを遠ざけようとしています。

多くの人がご存知のように、アルコールは人の持つ様々な機能を変化させる働きがあります。

 

それをいい意味での変化で見れば、脳も心も体もふわっとしてきてリラックス出来るというという働きがあげられます。人によっては陽気になったり、愉しい気分になったり、嫌なこともどうでもよくなったり、普段できないようなことでも酒の力を借りて出来てしまうこともあります。

 

アルコールによって人は簡単に深い変性意識状態に入ることが出来ます。日常の世界とは違った世界の中に入ることが出来ます。

 

しかしながら、アルコールの力で入った変性意識状態はアルコールによって支配される傾向があります。どういうことかというと、人はアルコールによって脳の機能が低下しIQも下がります。平たく言うと普段よりもアホになります。

 

アホになって脳が正常に働かなくなるため、いつも通りに自分を操作出来なくなります。そのため粗相をしたり周りの人に迷惑を掛けたり普段とは別人のような性格になったりするのです。皆さんも、今までにそのような人を見たことがあるはずです。これがアルコールによって支配された変性意識状態です。

アルコールに支配されているとはいえ、その変性意識によって気持ちよくなったり嫌なことが忘れられたるするので、自分の気持ちを手っ取り早くごまかすためにアルコールの力にすがるようになります。

 

更けていく夜の闇を可能な限り意識すまいと、今夜も間桐鶴野(びゃくや)はアルコールに耽溺していた。

 

ただし、アルコールとて一口飲んだらそれでしばらくいい気分に浸れるわけではなく必ず醒めます。もとの自分に戻ります。そしたらもとの自分の状態を忘れたいために、またアルコールを口にします

 

あの時の恐怖を記憶から遠ざけるためには、ただ重ねて酒瓶を呷るしかない。

 

人間には耐性があるので、同じ刺激ではだんだんと反応しなくなります。そのためにもっと強い刺激を求めたがります。アルコールでいえば、飲む量や回数が増えたり、アルコール度数の強いお酒を求めるようになります。そしてそれにもまた耐性が出来て、さらに量を、さらに強い刺激をと求めるようになります。

 

ああ、なぜ今夜はこんなにも眠気の訪れが遅いのか。いつものようにさっさと昏睡の中に転がり落ちてしまいたい。酒が足りない。酔いが足りない。

 

酒に強くなったという言い方もありますが、それは単に飲み過ぎて耐性が出来ただけなのです。それでも刺激が欲しいから、それ以上の量や強さを求めます。そして立派なアルコール中毒の出来上がりとなるのです。

 

もちろん、お酒を飲む人がみんなアルコール中毒にまで至るわけではありません(週に1回とかでは習慣とはなりません)。何かを忘れたいとか恐怖や寂しさを紛らわせたいとアルコールを飲む人が、飲むことを習慣にしてしまうとアルコール中毒になりやすくなります。

 

なぜなら、習慣化してしまったことを変えるということはとても難しいからです。一度習慣化した思考パターンや行動パターンは、現状を維持しようとするホメオスタシスの働きにより無意識に継続されます。煙草をやめたい、スマホゲームをやめたい、と思っていても自然とやってしまうのが習慣化されたパターンの恐ろしいところです。「嫌ならやめたらいいじゃん」が通用しない世界なのです。

悪い習慣をやめる方法

習慣化、中毒化してしまうと、それを変えることは難しいですが、変える方法はあります。

 

その方法をひとことで言えば『悪い習慣を別な良い習慣(中毒)で上書きすること』です。

 

あなたに良い影響を与える習慣を見つけ、その良い習慣に対して‟中毒”になってやり続けることです。アルコールが欲しくなったら、その時間を筋トレやランニングや瞑想の時間にしたらいいのです。スマホはゲームではなく読書をするための道具にしてしまえばいいのです。煙草を吸いたくなったら深呼吸しながら散歩や気功でもしたらいいのです。そしてそれらを習慣化させてしまうのです。

 

あなたの生活の中に、良い中毒となる習慣が多ければ多くなるほど、悪い習慣をやっている時間がもったいなく感じられます。こんなことやっている場合ではないと自然と良い方向に動き出します。ここでもマタイ効果が発揮されるのです。

 

富める者はますます富み、貧しき者は持っている物でさえ取り去られるのである

新約聖書マタイ伝13章12節

 

良い習慣に中毒することで、あなたは理想の自分へと成長を加速させていけるのです。あなたの生活を、あなたが愉しく成長するためにデザインしていきましょう。

 

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

U-NEXTでアニメ「Fate/Zero」が絶賛配信中です!
しかも31日間無料お試しで見れます!
詳しくはこちら

 

おすすめの記事