もっと気楽に愉しもう
今回の記事は「現状が書き換わったホメオスタシスはもう元に戻りたくない」でした。
今回も小説『Fate/Zero』からの引用でスタートです。前回に引き続きウェイバー・ベルベットと下宿先の老主人・グレンとの会話になります。
命と秤にかけられるほどの事柄なんて、結局のところ一つもありはせんものじゃよ(Fate/Zero)
「……申し訳ないけど、約束はできません。無事にまたここに帰ってこられる保証はないんで」
「すると、命懸けなのかね?お前さんがたは」
「はい」
(略)
「それがお前さんにとって、どれほど大切な事柄なのか解らんが……これだけは言わせてほしい。人生、長生きした後で振り返ってみればな、命と秤にかけられるほどの事柄なんて、結局のところ一つもありはせんものじゃよ」
「……」
虚淵玄『Fate/Zero 6 煉獄の炎』
生きていればいろいろなことがあり、それはいいことばかりとはいきません。
失敗して落ち込んだり、他人から罵倒されたり、信じていたことから裏切られたり、心身が病んでしまったり、自分のミスから他人に迷惑をかけてしまったり、などなどネガティブな精神状態に陥ってしまうことが度々あります。
そのような時に、人は自分の価値や自己評価を低く見てしまいます。
「自分はなんてダメなやつなんだ」「またやらかしてしまった」「なんでいつまでたっても成長しないんだ」などのように。
自分の現状である現在地を把握するために自分を客観的に観ることは大切ですが、自分の価値や自己評価を下げることはただの自己憐憫であり、それによって自分で自分の可能性やエネルギーを下げてしまうことにもなるので全く意味のない無駄な行為です。
なのですが、自分のネガティブな部分にフォーカスして、そのことを気にし続けている人はとても多いように感じられます。それは子供の頃から他人と比べられることが当たり前の環境で育てられた影響もあるかもしれません。他人と比べられて、他人よりも劣っていることにフォーカスを当てるような教育を受けていれば、自己評価は下がるし他人からの評価を気にするようになってしまうのも致し方ありません。
しかしながら、基本的に他人はあなたのことをほとんど気にしていません。気にしているフリをするかもしれませんが、あなた自身がそうであるように、自分と自分の身の回りのことで精一杯で、自分に直接的に関係することでない限り他人が何をしようがほとんど興味を持っていないのです。
あなたが欠点だと思っていることはただの個性だとしか思っていないし、あなたが頭を悩ましている問題についても「別にそんなことどうでもよくないか」と思っています(たぶん)。
それなのに、あなたは自分で自分を追い詰めます。自己評価や他者評価を気にして、本当は全然大事ではないことを大事なことだと思い込んで、やりたくないことに無理やり一生懸命に取り組んだり、逆にやりたいことを自分には無理だからと避けてしまったりします。
考え方が重いのです。気楽さがないのです。そんなことじゃストレスに心身ともにやられてしまいます。多くの人はどうでもいいことに対して振り回され過ぎです。くだらない自己評価と他者評価を気にしすぎなのです。
人生のうちで重要なことはほとんどないに等しいんだ。何が起こったって、べつにおたつこことはねえやね
船戸与一「蟹喰い猿フーガ」
参考記事:何が起こったって、べつにおたつこことはねえやね(蟹喰い猿フーガ)(2019/1/1)
「この試験に落ちたらもう終わりだ」「この会社を首になったらどうしたらいいんだ」「彼女から連絡が全く来なくなった」など、まぁその時はその時で必死になるのはわかります。しかし長い目で見れば、そんなことは挽回しよ上でのと思えば挽回出来るし、あんなに重大なことに思っていたこと上でのでも過ぎてしまえば案外どうでもいいことになってしまうのは皆さんも経験済みなはずです。だからネガティブなとこにばかりフォーカスするのではなく、もっと気楽に愉しいとこにフォーカスして欲しいのです。
「それがお前さんにとって、どれほど大切な事柄なのか解らんが……これだけは言わせてほしい。人生、長生きした後で振り返ってみればな、命と秤にかけられるほどの事柄なんて、結局のところ一つもありはせんものじゃよ」
これはあなたが大切に思って取り組んでいることに対し力を注ぐことを否定しているわけではありません。そうではなくその時のマインドをもっと明るくライトな感覚にして欲しいのです。
「すると、命懸けなのかね?お前さんがたは」
それが大切な事柄だとしても「これをミスしたらもう終わりだ」とか「この仕事は失敗が許されないので命懸けで取り組むべき案件だ」のように、「HAVE TO」で変に自分を追い込んでは欲しくないのです。ではなく、「楽しくて夢中で取り組んでいたら2日間寝ないでやってしまった」とか「これ成功したら超すげえな」という「WANT TO」のポジティブなエネルギーで取り組んで欲しいということです。
何でもかんでも大事だと思い込んで自分を縛り付けるのではなく、もっと気楽に細かいことを気にせずに愉しいことにフォーカスして生きていきましょう。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。