正しい知識と情報が思い込みや先入観をはずす

 

前回の記事は存分に己を示せよ征服王~あなたはどう在りたいのか?でした。

今回も小説『Fate/Zero』からの引用でスタートです。衛宮切嗣が言峰綺礼に対する自分の思い込みが間違っていたと理解する心象風景の場面になります。

すべてのマスターが聖杯を求め争ってるはずだという先入観が、今日までの切嗣の目を眩ませてきた(Fate/Zero)

結果的に、切嗣が講じた待ち伏せの策はすべて空振りに終わったが、それを悔やむ感情は皆無だった。むしろ言峰綺礼という謎めいた敵の正体が、ようやく把握できたことが収穫だ。切嗣のあらゆる予測が裏切られたことで、言うなれば消去法で答えは導き出された。

つまるところ、あの男は聖杯に興味がない。

なべてすべてのマスターが聖杯を求め争ってるはずだという先入観が、今日までの切嗣の目を眩ませてきた。だからこそ、どこまでも聖杯と結びつかない言峰綺礼の挙動が、謎めいた不気味なものに見えて切嗣を悩ませてきたのだ。

だが今夜、聖杯降臨の儀式に及ぶ上での綺礼の戦略を見届けて、あらためて切嗣は、そもそもの大前提から違えていたことを理解した。

虚淵玄『Fate/Zero 6 煉獄の炎』

 

思い込みや先入観についての話になります。

私たちは見たいものを見たいように見ます。だから、同じものを見てもフォーカスしている場所も違えば見方や感じ方も人それぞれ違います。

 

また、同じ情報を与えられても、人によって違う解釈をしていることはよく経験していることと思います。あなたが誰かに正確に物事を伝えたつもりが、全く別な解釈に捉えられていたりして「どうしたらそういう解釈になるの?」と驚くようなこともあったのではないでしょうか。

 

言語で正確に伝えようとしても解釈が異なるのですから、非言語の情報であったり書籍などのように一方的に与えられる情報に対する解釈は、なおさらその情報を捉える正確さは怪しいモノです。まぁそもそも正確なことがあるのかという議論もありますが、それは今回の趣旨とは異なるのでここでは省略します。

 

私たちの脳は手抜きが得意です。まぁ脳だけとは限りませんがとにかく手抜きが得意です。どういうことかというと、脳はあまりエネルギーを消費したくないと思っているので、少ない情報だけでそのことを解った気にさせてくれようとします。その情報についてのゲシュタルトを即座に作ってくれるということです。

 

脳は今あなたに入ってきた情報を、今までのあなたがしてきた経験とあなたが獲得している知識から総合的に判断して、「これはこういうことなんだろうなぁ」という情報を作り出します。これがゲシュタルトの統合です。

だがしかし、その少ない情報から統合されたゲシュタルトは、ほとんどが脳の思い込みであり、今までの知識と経験から導き出した先入観に近いものとなります。だから、その思い込みが正しいこともあるかもしれませんが、全くの見当違いという事もあり得ます。どちらかと言えば、私たちはそもそもの知識と経験が不足しているのだから、なおさらそれは疑ってかかった方がいいかもしれません。

 

その思い込みや先入観が、例えばどうでもいいような芸能情報やあなたの生活に何の影響も与えない通りすがりの情報ならそれはそれで全然問題ないのですが、あなたの中で優先順位の高いことであればそれを思い込みや先入観だけで進んで行くのはあまり賢い選択ではありません。

 

なぜなら、少ない情報の中での思い込みや先入観は、間違えていたり解釈がずれている可能性が高いからです。

 

しかし、先入観や思い込みというのは、そもそも脳がそれを正しいことだと認識し文字通り思い込んでいるので、よもやそれが間違えているかもしれないとは認識しません。正しい前提で進んで行きます。

 

なべてすべてのマスターが聖杯を求め争ってるはずだという先入観が、今日までの切嗣の目を眩ませてきた。だからこそ、どこまでも聖杯と結びつかない言峰綺礼の挙動が、謎めいた不気味なものに見えて切嗣を悩ませてきたのだ。

 

先入観や思い込みが間違えてしまうのは仕方がないことです。すべてを正しく理解するなど土台無理な話でだし、脳だって間違いたくて間違えているわけでなく、その時にある情報から最適解を導き出してくれているのです。しかし、だからといって先入観や思い込みの間違いを放置していいわけではありません。自分に重要な情報であればなおさら、それを正しい方向に導く必要があります。

 

そのために私たちがすべきことは、自分の知識や考え方がこれで本当に正しいのかどうかという意識を心の隅にでもいいので常に持っておくことです。そして自分に重要な優先順位の高いことであれば、そのことについての知識や情報をさらに貪欲に集めていくことです。知識や情報が増えていくことでそのゲシュタルトが正確性を増し、そこから新たな気づきが生まれたり、自分の間違えに気づいたりして、自分を正しい方向へと導くことにつながります。

 

だが今夜、聖杯降臨の儀式に及ぶ上での綺礼の戦略を見届けて、あらためて切嗣は、そもそもの大前提から違えていたことを理解した。

 

正しい知識と正しい情報を得る鍵は、そのことに対する興味と探究心です。もっと知りたい、もっとわかりたいという欲です。

 

だからこそ、どこまでも聖杯と結びつかない言峰綺礼の挙動が、謎めいた不気味なものに見えて切嗣を悩ませてきたのだ。

 

知りたいことに対し「どうしてこうなのだろう」「これで本当に正しいのだろうか」「これっておかしくないだろうか」などと、時には疑問を持ちながらあなたの興味を追求していくと、必要となる知識と情報は自然と入ってくるようになるものです。

 

手抜きが得意な自分の脳を信用しすぎず、脳をちょっとアホだけど正しい知識と情報を入れてあげればそれだけ強力に働いてくれる機能だと認識することで、あなたの視界が開け正しい方向へと進んで行くことができるようになるのです。

 

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

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