泣いて、笑って、喜びと怒りを生命で謳う——“生きる”という言葉の意味

 

前回の記事はそう告げた途端、舞弥が見せた表情の変化には~本音の感情が見える瞬間でした。

 

先ほど、新天皇即位にともなう元号が「令和(れいわ)」となったことが発表になりました。

新元号になったということで、皆様一人ひとりが「新しい時代は我々が作る!!」というマインドセットを持って突き進んで行ってほしいと思います。

 

令和の令(レイ)は0(Zero)ということにちなんで、今回も前回に引き続き、小説『Fate/Zero』からの引用でスタートです。

※令とZeroには一切関係はございません(たぶん)。しかしFateシリーズでは令呪が不可欠なので、もしかしたらどこかでつながっているのかもしれません。

 

そんなことはさておき、今回は主人公・衛宮切嗣の妻・アイリスフィールが敵対する魔術師マスターである言峰綺礼と相対した時の心象風景のシーンです。

彼が教えてくれたのは、人形ではない自分の生きざま(Fate/Zero)

「マダム、この男は代行者——魔術師狩りの達人です! ただの魔術でどうこうできる相手じゃない!」

地に蹲ったまま、痛み押してそう叫ぶ舞弥に、アイリスフィールは静かに微笑みを返した。

「私が切嗣から教わったのは、車の運転ばかりじゃなくてよ?」

(略)

切嗣は魔導において彼女の師となったわけではない。

彼が教えてくれたのは、人形ではない自分の生きざま。泣いて、笑って、喜びと怒りを生命で謳う——“生きる”とという言葉の意味。

そしてそれは同時に、“生き延びる”という決意の訓示でもあった。

綺礼の認識は半分だけ間違っている。持てる魔術を攻撃手段として応用する‟戦闘”の心得を、すでにアイリスフィールは身につけている。それは戦いの人生を歩み続けてきた夫の背中から、彼女が学び取ったものだった。——彼と“生きていく”ことを願うなら、いつかは‟生き抜く”試練を共にするものと。

虚淵玄『Fate/Zero 3 王たちの狂宴』

 

アイリスフィールはホムンクルスです。ホムンクルスとは錬金術師によって作られる人造人間のことです。わかりやすい例えでいえば、ドラえもんのような感じです。いや、ドラえもんは人造猫だから違うか。ん~、鉄腕アトムなら間違いなく人造人間ですね。

まぁひとことで言えば動く機械です。でも機械だから何も考えないかといったら、ドラえもんや鉄腕アトムを見ればわかるようにそれは違います。周りの人や環境から学び、そして人でいう人格といったものも持つようになります。人格は人間でいうとこの脳と心と捉えていいかと思います。

 

彼が教えてくれたのは、人形ではない自分の生きざま。泣いて、笑って、喜びと怒りを生命で謳う——“生きる”とという言葉の意味

 

しかし、何もないところから人格を形成するというのは、人間も同じです。泣いて、笑って、喜びと怒りを生命で謳うとありますが、喜怒哀楽に自分を表現し人生を謳歌するのが“生きる”とという言葉の意味であり、それが人格としての人間を形成します。

 

つまり生きるとは、喜怒哀楽を味わって表現することが大前提であり、それをすることを放棄するということは、(操り)人形として生きることと同じという事です。だから、自分の喜怒哀楽を封印してただひたすらやるべきことのみをやっていると、だんだんと表情のバリエーションがなくなり、能面のような固い表情になっていきがちなのです。

 

それは戦いの人生を歩み続けてきた夫の背中から、彼女が学び取ったものだった。——彼と“生きていく”ことを願うなら、いつかは‟生き抜く”試練を共にするものと

 

そして人形ではなく、喜怒哀楽に自分を表現し人生を謳歌するの人生を選んだ人にはもれなく『生きざま』が付いてきます。『生きざま』とは「自分はどう生きたいのか」「どのような人生を歩みたいのか」という人生における指針を心に秘めた能動的な信念体系であり、それが毎日の生活の中で無意識に発火していることです。

 

そしてそれは同時に、“生き延びる”という決意の訓示でもあった

 

人格の中に生きざまが設定されている人は、いざという時でさえ迷うことはありません。なぜなら、すでに自分の進む方向性や自分の大事にするべきことが決まっており、後はその決意に従って行動するだけだからです。

 

喜怒哀楽に自分を表現し人生を謳歌するの人生を送っていれば、自然と自分にとって何が大事かは見えてくるものです。

 

もし自分にとって大事なものがなかったり、なにをしたらいいのかがわからないのであれば、人形ではない生き方を実践することです。まずは自分の欲望や感情に素直になりましょう。そして自分が楽しいこと、喜びを感じることに対して遠慮せずにどんどん飛び込んで行きましょう。

 

figma Fate/Zero アイリスフィール・フォン・アインツベルン

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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