エフィカシー(自己効力感)とセルフエスティーム(自己肯定感)

 

前回の記事は一種の防衛本能~無意識に発動するホメオスタシスによる緊縛でした。

今回も小説『Fate/Zero』からの引用でスタートです。今回は魔術師マスターのひとり、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトのゴールに対する執念を見て取れる場面になります。

その双眸に宿る執念というべき意志の力(Fate/Zero)

見る影もなく窶れ果て、立って歩くことも叶わなくなったその姿が、かの神童ロード・エルメロイの成れの果てだとは、過日の彼を知る何人がはたして看破しうるであろうか。だがその双眸に宿る執念というべき意志の力は、かの天才魔術師の苛烈な気性を窺わせる名残でもある。

再起不能も同然の肉体的ダメージを負ったケイネスではあったが、それでもアーチボルト家の人脈のつてで、日本在住の人形遣いに渡りをつけた彼は、莫大な謝礼と引き換えに、なんとか両腕の機能だけでも取り戻し、ひとまずは車椅子で叶う範囲の行動の自由を得ていた。分厚くギブスを嵌められていた右手の小指も、今ではその痛みも認識できる。

「さて、神父殿。私の申告についての判定はどのように?」

慇懃な微笑とは裏腹に、ケイネスの声には半ば恫喝めいた含みさえある。禁断症状を前にして薬を乞い求める麻薬中毒患者というのは、さながらこんな風情かもしれない。妄執めいた気迫を隠そうともしない元魔術師の顔を、璃正はまじまじと凝視する。

虚淵玄『Fate/Zero 4 散りゆく者たち』

 

夢やゴールを達成したいのであれば、必要となってくるのがエフィカシー(自己効力感)です。

エフィカシー(自己効力感)とは、コーチングや心理学で使われる用語であり、意味はゴール達成に対する自己能力の自己評価となります。

 

平たく言えば、自分が掲げたゴールに対して、自分なら絶対にそのゴールを達成することが出来るという自信です。そして、その自信は自分に対する自己評価であるので、他人がどう思っていようが全く関係ありません。また、その自信がどこからくるのかというような根拠も必要ありません。

 

要は、自分がそのゴールを達成できる人間であることを、自分自身が信じているかどうかということです。そのゴールを達成を信じる度合いが高い人のことをエフィカシーが高い人(ハイエフィカシー)、ゴール達成の自信が低い人をエフィカシーの低い人と言ったりします。

 

夢やゴールを達成するには、このエフィカシーをどれだけ高く保ち続けていけるかというのが大きなポイントとなります。

なぜなら、エフィカシーを高く保っていることが、ゴール達成に向けた自己能力を引き上げる原動力ともなるからです。逆にエフィカシーが低いとゴール達成への自己評価が低いので、ちょっとしたことで「やっぱり、自分には無理だな」と、すぐにあきらめてしまいます。

 

ゴール達成をする人というのは、そのゴール達成をあきらめない人です。簡単な理屈です。ゴール達成に向けてあきらめずに進んで行っても、そのゴールを達成できない可能性もありますが、それでも途中であきらめてしまったらその時点で終了です。(あきらめることは別に悪いことではありません)

 

見る影もなく窶れ果て、立って歩くことも叶わなくなったその姿が、かの神童ロード・エルメロイの成れの果てだとは、過日の彼を知る何人がはたして看破しうるであろうか。だがその双眸に宿る執念というべき意志の力は、かの天才魔術師の苛烈な気性を窺わせる名残でもある

 

戦闘で負わされた負傷によりケイネスは体の自由がほとんど利かない状態になっているにも関わらず、聖杯戦争の覇者になることを一ミリもあきらめていません。体がどんな状態であろうとも双眸に宿る執念というべき意志の力は未だ健在です。

 

このゴール達成に向かう執念というべき意志の力がエフィカシーと結びつきます。

 

禁断症状を前にして薬を乞い求める麻薬中毒患者というのは、さながらこんな風情かもしれない。妄執めいた気迫を隠そうともしない元魔術師の顔を、璃正はまじまじと凝視する

 

エフィカシーを高く保ち本気でゴールを求めていると、その姿ははたから見ればすごく努力している人に見えるかもしれませんが、本人にしてみればそのゴールに向かうことは努力でも何でもない当たり前のことであり、表現が適切かどうかはわかりませんが、ゴールに向かうその心は麻薬中毒患者が麻薬を追わずにはいられない状態となんら変わりありません。(たぶん)

 

好きなことをやるのに努力はいらないというのは、まさにこういうことです。そのゴールが本当に心から欲するもので、そのゴールに対するエフィカシーが高ければそこに向かって行かざるを得なくなるのです。

 

エフィカシーを持つことがゴール達成に重要だとわかっても、なかなかエフィカシーを持てないという人もいるでしょう。自己能力の自己評価が低い人です。そういう人は、セルフコーチングなどでセルフイメージを高めていくことも必要になります。簡単に言えば自己肯定感を上げて自分に自信を持つ事です。コーチング用語で言えばセルフエスティーム(自己肯定感)を上げるということです。

 

このセルフエスティーム(自己肯定感)を持っているからこそ、ゴール達成に向けたエフィカシーも維持出来るのです。ケイネスもセルフエスティームが高いからこそ、戦闘に敗北し満身創痍で体の自由が利かないながらも高いエフィカシーを保ち、ゴール達成への執念はいささかも衰えてはいません。

 

自信がないことには何も始まらないのです。

 

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

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