やりたいことをやるというマインドセット
前回の記事は「豹という獣はあらゆる意味で彼の規範になるCOOLな生物だった」でした。
今回は、最澄と空海の物語を描いた漫画『阿・吽(あうん)』からの引用でスタートします。
覚悟など するまでもない!(阿・吽)
勤操和尚「これを手にするには条件がある…」
「覚悟だよ。」
「今、これを手にしたら お前さんはもう戻れんよ。深い深い道に踏み出すことになる…」
「大学を出て得る地位を捨て、甘美な生活を諦め、叔父の尽力にも、両親の期待にも応えられず… 国分寺というエリートコースに所属しているわけでもない。地面を這うところから始めなくてはならぬよ。」
「おりょ!?」
「あっさり取るなあ。」
真魚「覚悟…… など……… するまでもない!」
(お前さんを導くものは、あの男ではないよ。ましてや我でもない。)
「‟犀(さい)の角のごとく ただひとりゆけ”」
おかざき真里『阿・吽(あうん)』第1巻
真魚(まお)とは空海が空海と名乗る以前の名です。
多くの人は、何か大きな決断をする時に悩みます。進むべきか戻るべきかを、あーでもない、こーでもないと考えて結論を出します。そして、それが進む方に決めたのなら、それこそ「清水の舞台から飛び降りる」ような覚悟が必要だったかもしれません。
しかしながら、それほどの覚悟を持ってしてまで進んでいこうと決めるようなことは、基本的にはその人にとってやりたいことなのです。ということは、自分がやりたいことをやることを躊躇しているということになります。やりたいことを踏みとどませてしまう何かがあるということです。
「これを手にするには条件がある…」
「覚悟だよ。」
「今、これを手にしたら お前さんはもう戻れんよ。深い深い道に踏み出すことになる…」
大きな決断をする時には、そのための代償が必要なことがあります。それは今までしてきたことをあきらめることであったり、関係性を清算することであったり、先行きが不透明であったり、自分にそれが出来るのだろうかという思いだったり、単純にお金の問題だったり、なにかしら不安となる部分です。
自分が進みたいことと、不安となることを合わせて考えながら決断します。
そして、不安な部分があろうとも進んで行こうとする決断を「覚悟」といいます。
「おりょ!?」
「あっさり取るなあ。」
だがしかし、真魚(空海)には、その覚悟はありませんでした。勤操和尚がこれ(仏教の経典)を手にするには覚悟が必要だと説いているそばから、何のためらいもせずに経典を手に取ります。
「覚悟…… など……… するまでもない!」
普通の人であれば考えて覚悟を決めて進むところを、何のためらいもなく進んで行く。この空海の迷いのない行動の意味するところは、空海の中でマインドセットがされており、ただそのマインドセットどおりに行動しているということです。
引用文の行動の中に空海のマインドセットが透けて見えます。
マインドセットとは、考え方の基本的な枠組みであり、その人の思考パターンや行動パターンとなります。ようは、自分は何を基準に行動するのか、ということをセットすることです。それは何を大事に生きていくのかということにもつながります。
「自分の気持ちを優先する」「家族の幸せを一番に考える」「自分の成長を第一の考える」「とにかく今は金儲けが一番大事だ」「自分の夢の達成のためにはどんな犠牲があろうとも突き進む」「かわいいは正義」など、自分の中で大事なものが明確であり、その大事なものを優先するというマインドセットが強力にセットしてあると行動に迷いがなくなります。
行動に迷いがないのだから、決断する必要はありません。だから覚悟するまでもないのです。
とはいえ、これは空海レベルの強い信念を持った人のマインドセットです。多くの人はいくらマインドセットしていようが悩むのです。それはしょうがなことです。そう簡単に機械のように白黒はっきりさせることは出来ません。
とはいえ(2回連続)、ここでいう多くの人の中にあなたは含まれておりません。好き好んでこのブログを読んで学ばれている読者の方であれば、自分の人生を自分の好きなようにデザインしていく力があるはずです。さらに、挑戦することの先には成功か成長か学びがあり、どうなろうとも失敗がないということも知っています。
好きなことをやろうとするのに、何のためらいがあろうか。いや、ない。
やりたいことをやるというマインドセットをして、自分だけの道をひたすら突き進んでいきましょう!!
犀(さい)の角のごとく ただひとりゆけ
「スッタニパータ1章3 犀の角」
阿・吽 (1) (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。