前回の記事は「今を生きることが大事なんだ(弘法大師空海)」でした。
今回も前回と同じく、ジョージ秋山さんの漫画『弘法大師空海』からの引用でスタートです。
蚊や虻も 大きな鳥についたならば 空高く そして遥か彼方まで 飛びゆくことができる(弘法大師空海)
蚊や虻はその身が小さいために 風に流され 空中に飛ぶ———
…とはいうものの 大きな石を舟に乗せたならば どのような深い海でも 万里を超えて 行くことができる
蚊や虻も 大きな鳥についたならば 空高く そして遥か彼方まで 飛びゆくことができる
良い縁にめぐり遇うのと めぐり遇わないのとでは なんと ひとの一生は その差の大きいことか……大きいことか
ジョージ秋山『弘法大師空海』6巻
お釈迦さん(ブッタ)の悟りの思想に「縁起」という考え方があります。釈迦のいう縁起とは、自分も含めて、この世のすべては他の何かとの関係性でなりたっている」という考え方です。
縁起についてしっかり語り出してしまうと、「縁起とは何か」みたいなタイトルで10記事くらい書いてしまいそうなくらいの大切な概念なのですが、ここではさらっと進めて行きます。まぁとりあえずは「縁によって起ることで人の人生は決まる」くらいなイメージでいいかと思います。
私たちは生まれてから今までずっと、周囲からの影響を受け続けています。どんな人間関係の中にいたか、どんな生活環境で育ったか、どんな情報を受け取っていたか、どんな食生活をしているのか、どんな学びをしてきたのか、などなどあなたが関わるすべての情報があなたに影響を与えています。
人であれモノであれ環境であれ、あなたが関係することはすべてが縁起となります。そして、これらのあなたが関係する縁に対して、あなた自身がどのような捉え方(解釈)をするのか、またはどのような縁と関係を結ぶように行動するかによって、あなた自身が形成されていきます。
ということは「縁起によって、あなたの人生が決まる」といっても過言ではないくらいに縁起とは大事なことなのです。
この縁起ですが、子供の頃であれば、人にもよりますが自分で決めるというよりも流されて生きることが多いので、どのような環境に身を置いているかで人生の流れが方向付けられている傾向があります。まぁこれはしょうがないことです。
ですが、成長し知識や経験が増えてくるにつれて、関係性の見方や解釈を変えたり、関係性自体を自分の力で変えることが可能となってきます。自分の意思で自分の人生を選択することが出来るようになるということです。そして、これは自ら縁起を積極的に作るということです。
ただし、自分の意思で自分の人生を選択するためには、トートロジーにはなりますが自分の意思で自分の人生を選択しようと思わなければ始まりません。これは、いつも言っているように自分で考え行動するということです。何も考えずに思考停止でいては、ただただ風に流されるだけの人生となるだけです。
蚊や虻はその身が小さいために 風に流され 空中に飛ぶ
思考停止でいては、自分の周りにたまたまあった何かに影響されて流されてしまうのです。そしてその‟たまたまあった何か”は、たいていがあなたに良い影響を与えるモノではありません。何もしなくても手に入るような文字通りの流れている情報では、あなたをますます流される人間にしてしまうだけです。
あなたが自分の意思で人生を選択するということは、あなたの選択することに決めたゴールに向けて、そのための人間関係や生活環境や学びや情報などを自らの手でつかみに行くことです。そして、その行為が縁起を書き換えるということにもなります。
蚊や虻も 大きな鳥についたならば 空高く そして遥か彼方まで 飛び行くことができる
人は縁起によって生かされます。もしあなたが成長したいのであれば、あなたひとりの力でなんとかしようと思うよりも、あなたの関係性を書き換えていくという方向に切り替えて考えた方が成長のスピードが上がります。また、良い先生や師にめぐり合うことが出来たなら、あなた一人ではとうてい到達することが出来ないであろう遥か彼方の高みにまで昇っていくことも可能となるのです。
参考記事:「抽象度を上げる方法②巨人の肩に乗る」
良い縁にめぐり遇うのと めぐり遇わないのとでは なんと 人の一生は その差の大きいことか……大きいことか
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。