永遠のものなど何もない。全ては変わりゆく。それは人も例外ではない(ロード・エルメロイⅡ世)

 

前回の記事はだがそれでもウェイバーには嬉しかった~ホメオスタシスの書き換え方でした。

今回も小説『Fate/Zero』からの引用でスタートです。今回は狂うことでしか自分を救えなかったバーサーカー(間桐雁屋のサーヴァント、湖の騎士サー・ランスロット)の心象風景です。

そう、狂気こそが救いの揺籃だ(Fate/Zero)

そう、狂気こそが救いの揺籃だ。

獣であれば迷わない。迷わなければ苦しまない。何も望まれず、何も託されず、ただ己の欲するがままに五体を駆動させる獣にさえ成れたなら——

その願いが、時の果ての祈りと結びつく縁となり、いま‟彼”は何処ともいえぬこの戦場にいる。

もはや己の名も忘れ、己の誓いも忘れ、ただ双腕の染みついた殺戮の技芸を存分に揮うばかりの我が身。それを恥じる誇りもない。それを悔やむ心もない。それが『バーサーカー』と呼ばれる今の‟彼”の有り様だ。

後悔などある筈もない。この堕落こそ、この解脱こそ、まぎれもなく‟彼”の求め欲したものだ。

虚淵玄『Fate/Zero 6 煉獄の炎』

 

狂ってしまった人というのは、ある意味無敵です。なぜなら、自分に都合の悪いことや嫌なことは全部スコトーマ(心理的盲点)に隠して見えなくしてしまい、自分の狭い世界観だけに浸っていられるからです。

 

そう、狂気こそが救いの揺籃だ。

獣であれば迷わない。迷わなければ苦しまない。何も望まれず、何も託されず、ただ己の欲するがままに五体を駆動させる獣にさえ成れたなら——

 

獣のようにといったら獣に失礼ですが、人間に備わっている理性という、物事に対し道理をわきまえ客観的・論理的に判断することができる能力をあえてシャットダウンすることで、人は獣のように本能的になれるのかもしれません。

 

確かに人間の理性をつかさどるのは脳の前頭前野です。この前頭前野の働きを弱めることで、理性的な感覚だ弱まるかわりに、一時的に解放された気分になったり嫌なことを忘れられたりすることもあります。

前頭前野の働きを弱めてしまう時の理由の一つとして、頭を熱くするということがあります。簡単に言えば頭に血が上った状態です。

 

例えば、アルコールを飲むことで頭に血液が集まって、のぼせた感じになっていい気分に浸っている時がそうです。まぁでも、この程度の獣ならかわいいものです。

 

怒りで頭に血が上り一時的に制御不能になるほど我を忘れて怒鳴り散らす人もいますが、このような時も脳の前頭前野の働きは弱まっています。このレベルの獣だと始末に負えません。

 

「頭を熱くしてはいけません」

これは僕の学んだ気功の師から口を酸っぱくしていわれた言葉です。

 

頭を熱くしてはいけない理由は2つあります。

ひとつは、脳疾患など脳の病気につながる危険性があること。

もうひとつは、狂って自分の世界観に浸って暴走する危険性があること。

 

だから気の鍛錬をするにしても、頭に熱い気は置かないようにしなければいけません。逆に頭は冷やすぐらいがちょうどいいのです。頭はいつも冷静にしておくべき所です。

 

体を丹田という視点で見ると頭は上丹田になります。胸が中丹田で、ハラが下丹田です。

これら3つの丹田にはそれぞれに得意は働きがあります。

 

上丹田は、道理や客観性や論理性などを持って思考する理性的な働き。

中丹田は、やる気や情熱、愛情や思いやりなどの感受性や情動の働き

下丹田は、安定感や落ち着きなど地に足の着いた思考をする働き。

 

それぞれの気の色で表すと、上丹田が青、中丹田が赤(オレンジ)、下丹田が黒になります。

 

通常、私たちの身体で熱くなりやすいのは胸(中丹田)です。情熱や愛情は胸にあるのです。感動したときに熱いものがこみあげてくるのも、頭でもハラでもなく胸です。エネルギーの強い人の中丹田は赤く燃えているのです。

 

反対にハラ(中丹田)は安定感と落ち着きの重力系のエネルギーであり、このエネルギーが強いと赤の熱い気の暴走も抑えられバランスのいい気の状態になります。

 

頭(上丹田)は司令塔的は働きをする機能になります。マジンガーZの頭の部分にパイルダーオンしてマジンガーZを操縦するイメージをしてもらえればわかりやすいかと思います。(わかりやすいのか?)

 

しかし、頭(上丹田)が冷静さをかいたり、アルコールなどで血液を頭に集め停滞させることで、理性的な働きをするはずの頭が思考停止になると、そこに下から熱い赤い気(場合によっては重い黒い気)が上がってきて操縦席を乗っ取ります。それが怒りや焦りで我を忘れている状態です。

 

この状態を解消する方法はシンプルです。まずは自分の頭に血が上り赤い熱い気に乗っ取られていることに気づくこと。気づくことが出来れば(意識に上げられれば)その状態を書き換え可能です。操縦席にいる赤く熱い気を下に下げればいいだけです。赤く熱い気を下に下げる簡単な方法は深呼吸をすることです。そうすれば赤く熱い気は頭から消えて、必然的に思考停止状態も解消して冷静な思考が出来るようになるのです。

 

と、ここまでは、普通の人の話です。

問題は自ら狂うことを選んでいる人もいるということ。あえて自分を狂わせる、狂戦士であるバーサーカーとしての在り方を自ら選んでいる人がいるということです。

 

もはや己の名も忘れ、己の誓いも忘れ、ただ双腕の染みついた殺戮の技芸を存分に揮うばかりの我が身。それを恥じる誇りもない。それを悔やむ心もない。それが『バーサーカー』と呼ばれる今の‟彼”の有り様だ。

後悔などある筈もない。この堕落こそ、この解脱こそ、まぎれもなく‟彼”の求め欲したものだ。

 

その狂気が、自分が本当にやりたいことに対して、他のことには一切目もくれずに寝食を忘れて没頭するということであれば、それはある意味正しい狂い方だと思います。(たぶん)

 

しかし、自分の今の現状や悩みや苦しみから目を背けるために自らを狂わせることをしてしまう状態、たとえばアルコールやドラッグまたはギャンブルの世界に入り浸ることで、あえて自分を狂わせ堕落している状態にある人もいます。

 

そう、狂気こそが救いの揺籃だ。

 

まぁ人それぞれに事情があり、それしか苦しみから逃れる方法が見つからなかったかもしれないので、その人に対し気安く「止めた方がいいよ」とはなかなか言えません。

 

しかし、人は変われます。自分が変わりたい気持ちがあれば、変わる方法や苦しみから逃れる方法方法を知っている人を見つけることは出来るかもしれません。人はあきらめさえしなければ、何度でも立ち上がることが出来るのですから。

 

「永遠のものなど何もない。全ては変わりゆく。それは人も例外ではない。」

『TVアニメ「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 ー魔眼蒐集列車 Grace noteー」第3弾PV 』からの引用

 

TVアニメ「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 ー魔眼蒐集列車 Grace noteー」第3弾PV │ 2019年7月6日放送開始(YouTube:アニプレックス公式)

TVアニメ「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 」については前回の記事参照。

 

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

おすすめの記事