前回の記事は匂いが無意識に与える影響でした。

比喩表現どおりの行動が無意識に与える影響

前回までの記事では、物理的感覚が抽象的な概念である比喩的表現と無意識でリンクさせ思考や行動に影響を与えているという内容を書いてきました。

 

「温度」「手触り」「重さ」「赤」「光」「空間」「浄め」「匂い」という体感を物理的に受けることで、目の前の人や自分自身に対してもその体感と同じイメージを感じてしまうバイアス(偏見)が無意識にかかっていました。

 

温かい飲み物を飲んでいると目の前の人が温かい人に感じられ、柔らかい物体に触れていると穏やかな態度になりやすいなどがその例です。

 

で、今回は逆にしてみたらどうかという実験になります。

 

どういうことかというと、抽象的な概念である比喩表現どおりの行動を実際にしてみた時に感情やパフォーマンスにどのような変化が起こるかという内容です。

 

たとえば、「感情をしまい込む」のであれば、実際に感情を紙に書き出して封してしまいこんでしまう。「自由な発想を求める」のであれば、その場にじっと座っているのではなく、自由に動きながら考えてもらう。

 

そのように比喩的表現どおりに行動した場合にどのような結果が出るのか、という研究です。

 

そして今回も参考書籍としてタルマ・ローベル著『赤を身につけるとなぜもてるのか?』からの引用を活用して説明していきます。

閃きーグーグルのオフィスは何が違うのか?

 

最終章 閃きーグーグルのオフィスは何が違うのか? まとめ

(研究内容は省略)

【結論】

・嫌な思い出に実際に封をすることで、マイナスの感情をやわらげることができる

・部屋を歩き回ったり、二つのものを一つに合体させるなど、創造性に関わる比喩を文字通り実行すると、実際にクリエイティブになる

・電球など、創造性のシンボルとなっているものを見たり、その存在を意識したりするだけで、創造性が高まる

【応用編】

・過去の嫌な記憶は、紙に書き出し、封筒に入れてしまおう

・創造的になるためには、創造的思考に関する比喩を文字通り実行してみよう

・また、創造性のシンボルとなっているものを部屋に置いてみよう

タルマ・ローベル著『赤を身につけるとなぜもてるのか?』

 

比喩表現どおりの行動をすることで、どう変化するのかということで、研究では創造性についてフォーカスした実験をしています。

 

創造性に関わる比喩表現どおりに行動したり、創造性を連想させるようなものに接することで、実際にアイデアがひらめきやすくなったり、連想が働きやすくなったりするのだろうか?

 

で、その結果は成果を上げていました。

 

創造性に関わる比喩表現どおりに行動したら、明らかに創造性が高まったということです。

 

ということはクリエイティブな能力が必要な時は、机の前に座って集中して考えるよりも、自由な空間で自由な行動をしながら考えた方が、いいアイデアが閃(ひらめ)きやすいということになります。

 

また、閃くと言葉を聞くと、電球にピカッと明かりが灯るイメージが浮かぶ人が多いかと思います。ということで、蛍光灯の部屋と電球の部屋のどちらがアイデアが閃きやすいかということを連想テストで実際に行ってみたところ、電球の部屋で行った方が良い結果を出しました。

バカバカしいと思うかもしれませんが、比喩的表現を実際に行うことに対し、無意識は明らかに影響を受けているということが言えます。

 

ちなみにグーグルの経営陣は、環境が人の精神に、とくに創造性と生産性に大きく影響を及ぼすということを知っていて、社員が楽しい空間に身を置き自由に動き回れるようなオフィスとなっています。そしてそれがグーグルの発展にもつながっているのではないかと筆者は考えています。

 

環境は明らかに人に影響を与えています。

 

目に見えない情報に意識も無意識も左右されています。

 

その目に見えない情報に意識がいくと、自分も自分のいる空間も自分が望む方向へと変えていくことが出来るようになってくるのです。

 

『赤を身につけるとなぜもてるのか?』シリーズは今回で最後になります。

赤を身につけるとなぜもてるのか?

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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