前回の記事は温度が無意識に与えている影響でした。

手触りが無意識に与えている影響

自分が飲んでる飲み物の温かさや冷たさが、目の前にいる人に対して感じる温かい人や冷たい人という評価に無意識につながる傾向があります。

 

吊り橋効果に見られた、恐怖に対する胸のドキドキが目の前にいる人に対するドキドキだと脳の無意識が情報処理してしまうのと同じような感じで、物理的な温かさ冷たさが比喩的な表現としての温かさ冷たさとして脳の無意識が情報処理している可能性がある。その結果として目の前にいる人の評価に対し、自分の気づかぬところでバイアスがかかっていることがある、という話を前回はしました。

 

今回は手ざわりという皮膚感覚による接触が無意識に与える影響について書いていきます。

前回同様、参考書籍としてタルマ・ローベル著『赤を身につけるとなぜもてるのか?』からの引用を活用します。

手触りによる影響

手触りー商談に勝つ椅子、負ける椅子 まとめ

(研究結果を省略)

【結論】

・私たちは人と接触すると、その人への信頼感が強まり、協力的な行動を取る

・物理的に硬さを感じると、他人を頑固で厳しい人だと評価する

・交渉の姿勢も感触に応じて強硬になったり、柔軟になったりする

・触感にまつわる比喩を聞いたときには、実際の触感と同じ脳の領域が活性化する

【応用編】

・子どもも大人も、文字通り人と触れ合おう

・柔軟な姿勢で交渉に臨むには、やわらかい椅子に座り、硬いものを持たないように気をつけよう

・子どもにはやわらかく、手ざわりのよいオモチャを買ってあげよう

タルマ・ローベル著『赤を身につけるとなぜもてるのか?』

 

皮膚の感触は私たちの無意識に大きな影響を及ぼしています。

 

言葉の話せない赤ん坊の頃は、親や周りの人に触れられることによる非言語コミュニケーションにより、世の中のことを学んでいきます。

 

子どもの発達に過程で触覚は重要な役割を持っており、触れられることで安心感を得たり対人関係能力を育んだりします。逆に子供の頃に触れられる経験がほとんどなく育った場合、情緒的、社会的、認知的な発達が阻害される実例が出ています。

親子

まぁ私たちは触れられることにより、安心感や相手に対する信頼感を無意識のうちに持ってしまうというのは、皆さんも今までの経験からなんとなく感じられていると思います。

 

実際に軽いボディタッチやスキンシップが安心感や信頼関係を築くことに対し有効に働く傾向があることは研究などで実証されています。

 

で、ここからが今回の肝になる話になります。

 

結論からいうと、自分が触れている物に対する感触によって、目の前にいる人の印象に対して無意識にバイアス(偏見)がかかっている可能性が見られるという話です。

 

例えば、座っている椅子の硬さ柔らかさ、手にしている物の硬さ柔らかさといった感触が、そのまま目の前にいる人に対する硬さ柔らかさという印象につながるということです。

 

あなたが硬いものに触れている場合、目の前にいる人に対し頑固で厳しい人であると評価しやすくなり、逆に柔らかいものに触れていると相手に対し安心感や友好的な感情をいだきやすくなるということが実証されています。

 

ゆえに私たちの認識は身まわりの物体の感触により無意識に左右されていると言えます。

 

触覚に関しても温度と同じように、物理的感覚で感じる硬さ柔らかさが、人間を比喩的に表現する硬さ柔らかさとつながっているのです。

 

そしてそれが自分の意思とは関係ない無意識の部分が自動的に行われています。

 

無意識の働きは基本的には防ぎようがないですが、このような働きがあるということを知識としてわかっていてかつ意識に上げることが出来れば、自分に影響しているバイアスに気づくことができ、フラットな感情で目の前のことに対し判断することが出来ます。

 

またこの働きを知っていることにより、気分が荒れている時やイライラしている時に、柔らかいぬいぐるみに触れていることで、自分の気持ちを落ち着かせたりリラックスさせたりすることに使うことも出来ます。

 

前回の温度の影響とからめて言えば、柔らかいソファに座り、ペットの猫を膝の上にのせ背中のモフモフを手のひらで触れながら、温かい飲み物を飲んでいると、気持ちは自然と穏やかな方向に向かっていくことになること間違いなしと言えるでしょう。

 

次回は、重さについて話をする予定です。

赤を身につけるとなぜもてるのか?

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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