大切な人の喜びのためなら、人は強くなれる

 

前回の記事は彼の目的意識を遂行するシステムは、別のドライブで滞りなく稼働するでした。

今回も小説『Fate/Zero』からの引用でスタートします。今回は衛宮切嗣とその妻であるアイリスフィールの会話の場面です。

祈りを子に託すとき、母親には恐れるものなど何もない(Fate/Zero)

「ううん、いいの。もう」

不実な誓いを咎めることなく、アイリスフィールは微笑んだ。

「私が取りこぼした幸せがあるなら……残りは全部、イリヤにあげて。あなたの娘に——私たちの、大切なイリヤに」

そこで切嗣は理解した。滅びを間近に控えながら、なおも気丈に笑えるアイリスフィールの強さ——その源泉がどこにあるのかを。

「いつかイリヤを、この国に連れてきてあげて」

祈りを子に託すとき、母親には恐れるものなど何もない。

だからこそ笑える。怖じけることなく粛々と、自らの末路を歩んでいける。

「あの子に、私が見られなかったものを全部……見せてあげて。サクラの花を、夏の雲を……」

「わかった」

切嗣は頷いた。

それは聖杯を求める機械には不要な挙動、まったく意味のない契約。

だからこそ、ヒトとして頷いた。

虚淵玄『Fate/Zero 5 闇の胎動』

 

私には目標がない。ゴールが見つからない。特にやりたいこともない。

これはよく聞く話です。

 

基本的に日本に住んでいる多くの人は、本人がどう思っているかはさておき、満たされた生活をしています。衣食住には不便しないし、欲しいものはお金を払えば手に入るし、水道水は普通に飲めるし、伝染病はほとんどないし、ポケットに財布を入れて外を歩けるし、夜に武装しなくても外出も出来るし、病気にかかった動物がその辺をうろついているわけでもありません。

 

以前、フィリピンに英語の語学留学をしてた時、僕が講師に将来の夢について語った後にその講師に将来の夢を聞いたら、こんな答えが返ってきました。

 

「今のあなたのような生活がしたい」と。(もちろん英語で)

 

はたから見たら天国で暮らしているような世界を、今の私たちは普通の生活として送っているということです。

 

ようは、私たちはそのような何となく満たされた状態の中で生活しているので、ゴール設定とかやりたいこととと改めて問われても特には出てこないのです。人が変わりやすい状態というのは、大きな挫折や絶体絶命のピンチに立ち向かっている時であり、逆に言えば平和な状態にいると人は変わりにくいのです。

変わりにくいというか「何としてでもこれをやりたいんだ」という渇望感が沸いてこないのです。なぜなら、あなたの表面上の顕在意識はどうあれ無意識のホメオスタシスは十分に満たされて何の不満も感じてないからです。だから散々考えたところでゴール設定が出来ないのです。

 

では、そのようなやりたいことも特に見つからなく満たされた状態にいる人が自分を成長させようとするにはどうしたらいいのか?

 

その最適な方法は、自分の大切な人を喜ばせてあげることです。

 

人は自分が他人のためにしたことでその人が本気で喜んでくれる姿を見ることに嬉しさを感じる生き物です。自分のおかげで喜んでいる人を見た時に、喜びや快楽などを感じさせる神経伝達物質であるドーパミンが大量発生するのです。

 

「私が取りこぼした幸せがあるなら……残りは全部、イリヤにあげて。あなたの娘に——私たちの、大切なイリヤに」

 

人は自分のためとなると諦めが早く意外と頑張らない生き物です。しかし、それが自分の大切な人のためとなると話は別です。大事な人のためであれば、普段の自分では考えられないような精神力行動力を発揮するのです。なぜなら、大切な人の幸せが自分の喜びにもなるからです。

 

そこで切嗣は理解した。滅びを間近に控えながら、なおも気丈に笑えるアイリスフィールの強さ——その源泉がどこにあるのかを。

 

「あの人の笑顔が見れるなら」という想いが強ければ強いほど、たとえ自分がどんな状態にあっても恐れることな何もないと思えるような、すべて超越した精神状態にもなれるのです。

 

祈りを子に託すとき、母親には恐れるものなど何もない。

だからこそ笑える。怖じけることなく粛々と、自らの末路を歩んでいける。

 

人は自分の本当に大切な人のためであれば、簡単に今の自分を超えられます。

「あなたの大切な人を喜ばせてあげたい」というその想いが普段のあなた以上の精神力と行動力を生み、その結果的としてあなた自身も大きく成長することになるのです。

 

だから、自分のやりたいことが見つからないのなら、あなたの大切な人を喜ばせていればいいのです。

 

大切な人の範囲をどこまで広げるかはあなた次第です。もちろん家族や恋人だけでも全然かまいません。しかし、大切な人の範囲が広がれば広がるほど世界平和につながり、そんな人が増えれば増えるほど世界はさらにより良い場所となってくるはずです。

 

それには、まずは周りにいる人に笑顔で挨拶をすることから。それだけでも、あなたは周りにいる人を喜ばせることが出来るのです。

 

自分のゴール設定が出来ないのであれば、徹底的に周りにいる大切な人を喜ばせることにフォーカスしてみましょう。その行動があなたを大きく変えていくはずです。

 

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

U-NEXTでアニメ「Fate/Zero」が絶賛配信中です!
しかも31日間無料お試しで見れます!
詳しくはこちら

 

おすすめの記事