自分の出来ないことばかり見て、出来ることに対して過小評価していませんか?
前回の記事は「自嘲は剃刀のようにプライドを切り刻む~感情のコントロール」でした。
今回も前回に引き続き小説『Fate/Zero』からの引用でスタートです。今回は7人のマスターの1人であるウェイバー・ベルベット(19才の青年)と、そのサーヴァントのライダー(征服王イスカンダル=アレクサンドロス大王)との会話です。
もしかして貴様、えらく優秀な魔術師なんじゃないのか?(Fate/Zero)
「おい、坊主——もしかして貴様、えらく優秀な魔術師なんじゃないのか?」
あまりにも心外な言葉だっただけに、ウェイバーにはそれが皮肉にしか聞こえず鼻を鳴らしてそっぽを向いた。
「こんなのは優秀な魔術師じゃない。方法としては下の下だ。オマエ、ボクを馬鹿にしてるだろ」
「何を言うか。下策をもって上首尾に至ったなら、上策から始めるよりも数段優る偉業ではないか。誇るが良いぞ。余もサーヴァントとして鼻が高い」
虚淵玄『Fate/Zero 3 王たちの狂宴』
とても良い結果を出して周りにも評価されているのに、自分に対する評価が低い人がいます。
自分をもっと成長させたいと努力を積み重ねているような理想の高い人に、そのような傾向が見られることが多いです。
そのような理想の高い人は自分が出来ないことや手に入れたい理想に目を向けているので、自分のしたことに対しこんなレベルではまだまだ納得出来ないと思ってしまいます。
あまりにも心外な言葉だっただけに、ウェイバーにはそれが皮肉にしか聞こえず鼻を鳴らしてそっぽを向いた。
日々自分を成長させようと意識している人は、他の人が出来ないことを当たり前のようにこなしてしまうことがあります。このような時、周りの人は出来る人に対して「すごいな」と思うのですが、出来る本人からしてみれば、それがまるで自転車に乗るかのように何の苦も無く出来てしまうことなので、それがすごいこととは思えず、「こんな低レベルのことが出来たくらいで、何を言っているのだ君たちは」というような気持ちになったりします。
人は自分の出来ないことを過大評価し、自分の出来ることについては過小評価しがちです。それはそのまま自分が自分自身に思っている評価につながっています。
こんなのは優秀な魔術師じゃない。方法としては下の下だ。オマエ、ボクを馬鹿にしてるだろ
しかし、そんなことで自分の評価を下げるのはとてももったいないことです。ましてや出来ていることに対してもネガティブな感情になるのは本末転倒です。
ここであなたに認識して欲しいことは、ひとりの人が出来ることなんて、たかが知れているということです。知っていることよりも知らないことの方が圧倒的に多いし、出来ることよりも出来ないことの方が圧倒的に多いのです。
人は上を目指し自分の成長や新しい挑戦に向かって行けば行くほど、自分の無知や実力不足に気づかされます。ソクラテスの言う「無知の知」です。当然ながら、私たちは世界の全てを知るなんて不可能です。また、あなたが知っているすべてのことを知っている他人はひとりも存在しません。
だから、自分の出来ないことに対して自己評価を下げるような意識はそろそろ消してしまった方がいいです。ただし、出来ないことを出来るようにすることはそれはそれで努力を続けていってきださい。
それにプラスして、もうひとつ意識して欲しいことがあります。それは、あなたには出来ることがたくさんあるということです。あなたが今まで生きてきた道のりを眺めて見れば、たくさんの学びや経験があるはずです。そしてそれらの学びや経験から、あなたはいろいろなことが出来るようになっています。そのあなたが出来ることに対して、あなた自身は出来て当然だと思っていますが、あなたが出来て当然だと思っていることを出来ない人はたくさんいます。
あなた自身は自分の出来ることを過小評価しがちですが、あなたが何の苦も無く当たり前のように出来ることというのは、あなた自身が社会に貢献したり機能を果たすのにとても強力な武器になるのです。だから、あなたはすでに他人に喜ばれるような潜在的な力を持っているのです。
もしかして貴様、えらく優秀な魔術師なんじゃないのか?
もし、あなたがどうしたら社会に貢献出来たり人の役に立てるかわからないと思っているのであれば、それはあなたは理想を追い求めて自分の出来ないことばかりに目を向けているため、あなた自身が優秀であることに気づいていないだけの可能性が大です。
あなたが今すでに出来ることで、社会に機能を果たしたり、他人を喜ばせることようなことがあるはずなのです!!
Fate/Zero 1/8 ウェイバー・ベルベット (1/8スケール PVC製塗装済完成品)
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。